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新型コロナの緊急事態宣言が1カ…

 新型コロナの緊急事態宣言が1カ月余り続き、ステイホームで台所に立った。料理研究家・土井善晴さんの「一汁一菜」を手本にした▼おかずがいっぱい並ばなくてもよい。ご飯とみそ汁と漬物が基本。具だくさんのみそ汁なら栄養のバランスは取れる。品数が少ないと食品ロスにもならない▼みそや漬物は微生物がつくり出したもので、そのおいしさは「人間業ではない」と土井さんは言う。食材は人知を超えたお天道様からの頂き物と捉える。だからレシピにこだわりすぎたり、力ずくで手を掛けたりしない。「いい加減でええんですよ」と▼日常の家庭料理は日本の気候風土の中で伝えられてきた。自然をコントロールせず自然に沿う食文化だ。政治学者の中島岳志さんは、そんな土井さんの料理に、程よく人の手を入れながら山とつきあう里山づくりとの共通点をみる▼2人は対談をまとめた「料理と利他」(ミシマ社)で「いま世界に必要なのは自然と共存する和食の考え方では」と提言する。新型コロナの問題でも、人間が自然破壊によって森の奥深くにいたウイルスのすみかを奪った結果の警告では、との指摘があるからだ▼そう考えると日々のまな板は地球とつながっている。さて明日のみそ汁は何を作ろう。地元の蔵で熟成したいつものみそと、瀬戸内海のいりこのだしを使って。

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