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LINE問題 企業姿勢が問われている

 通信アプリを運営するLINE(ライン)で起きた個人情報問題を巡り、親会社のZホールディングス(ZHD)の第三者委員会が第1次報告書を公表した。LINEが政府に対し、日本国内の利用者がアプリでやりとりした画像や動画を韓国のサーバーに保管していたにもかかわらず「LINEのデータは日本に閉じている」と虚偽の説明をしていたことが判明した。

 データの管理を巡る説明責任をないがしろにしていると言わざるを得ない。企業体質が厳しく問われていることをLINEやZHDは重く受け止め、意識改革と経営改善を図らねばならない。

 報告書によると、LINEでは2013、15、18年の3回にわたり、国内利用者のデータの保管場所に関して「主要な個人情報は日本のデータセンターに保管」「主要なサーバーは日本国内」などと説明することを社内で検討していた。その上で、政治家、官公庁、地方自治体の担当者らに対しては、データを国内で保管しているという趣旨の説明をしていた。

 LINEを巡っては今年3月、国内の利用者情報が業務委託先である中国の企業から閲覧可能になっており、実際にアクセスがあったことが判明した。中国では国民や企業に情報活動への協力を義務付ける国家情報法があり、機微な情報が国家に吸い上げられるリスクが懸念されている。

 国家情報法の影響に関して報告書は「経済安全保障に関する懸念が社内で持ち上がるような備えと感度が必要だった」とし、認識や体制の不備を指摘した。

 報告書はLINEによるデータの移転計画で、情報提供が不正確だったことも問題視している。具体的には、個人情報問題が発覚した際、LINEは対話機能「トーク」内の画像や動画のデータを6月までに韓国から国内に移転する計画を公表した。ところが、無期限で保管する「アルバム」の画像データについては容量が大きく、移転の完了が24年上半期までかかることは公表していなかった。

 報告書が指摘する一連の問題点から浮かび上がるのは、正確な情報発信や説明責任を果たす姿勢の欠如だ。利用者の信頼を損なったことを猛省してもらいたい。

 LINEは政府の個人情報保護委員会と総務省から行政指導を受け、リスク管理体制の強化などを進めている。今回の報告を受けては「透明性や安全性の確保が十分にできていなかった」として、引き続き改善に取り組む構えだ。

 国内で8800万人が利用するLINEは幅広い世代の連絡手段として普及し、社会インフラの機能を強めている。利用者から信頼され、安全で便利なサービスが提供されるよう不断の経営努力が欠かせない。個人情報の管理が適正に行われているかなど、政府や国によるチェック機能の拡充も強く求められる。

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