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切り離された竹喬作品 再び一つに 15日から笠岡の美術館で公開

二つに分かれていた上下をつなぎ、本来の姿を取り戻した「五箇山の雨季」
二つに分かれていた上下をつなぎ、本来の姿を取り戻した「五箇山の雨季」
中央を左右に走る黒っぽい線が接ぎ目
中央を左右に走る黒っぽい線が接ぎ目
 笠岡市出身で文化勲章受章の日本画家小野竹喬(1889~1979年)が描き、後に何らかの理由で上下二つに切り離された「五箇山の雨季」が、再び一つになり本来の姿を取り戻した。復元を願う遺族の意向で修復されたもので、15日から市立竹喬美術館(同市六番町)で公開される。

 作品は縦167センチ、横80センチ。富山県・五箇山の風景画で、集落のそばを川が流れる近景の向こうに、そびえる山々を描いた構図。竹喬が得意とした鮮やかな色使いや細かな描写が目を引く。上端から約70センチの絵の中ほどに修復による接ぎ目が左右に走っている。

 同館によると、第10回文展(1916年)に出品したものとみられる。同年に竹喬が五箇山を訪れた際のスケッチによく似た絵があることや、竹喬の画家仲間が後援者に宛てた手紙に「(竹喬は特選に選ばれた「島二作」と)五箇山の雨季を出品した」とあることから推測した。

 上半分は遺族から、下半分は竹喬が懇意にしていた表具店からいずれも90年に同館に寄贈され、別々に額装したが、もとは同じ絵であったことが後に判明。2003年に富山県で開かれた展覧会以降、2枚を上下に並べて展示していた。

 復元のきっかけは昨年10月、竹喬の孫・彩子さんが展示を見たこと。同8月に亡くなった母で竹喬の三女・道子さん(享年93歳)を思い「竹喬美術館のために何かできないかと考えていた母なら、一つにしたいと願うはず」と同館に申し出て、表具店に依頼して今年3月に修復した。

 彩子さんは「物語が一つになったよう。祖父が若く勢いがあった頃の作品で、水の色も鮮やか」。同館の上薗四郎顧問は「誰が何のために切ったのかは分かっていないが、竹喬さんが上半分だけ手元に置いて後で何かに使うつもりで、下半分が表具店に残されたのかも。調査を続けたい」としている。

 修復された作品は同館が所蔵し、15日に開幕する特別陳列で初公開する。

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