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広がる大麻汚染 危険性伝える対策強化を

 若い世代による大麻の使用が広がり続けている。2020年の1年間に大麻事件で摘発された人が初めて5千人を超え、過去最多となった。その半数を20代が占め、10代も過去最多を更新した。30代以上が横ばいなのに対し、低年齢層は年々増加が加速しており看過できない状況だ。

 まん延の背景としては大麻使用の危険性に対する認識の低下が挙げられる。警察庁が昨年の摘発者に行った調査では、危険性が「ない」とした割合は78・2%に上り、17年調査から約14ポイント増。とりわけ20歳未満に顕著で、30ポイント余りも増えた。

 気がかりなのがインターネット上の情報である。海外の一部では嗜好(しこう)品や医療用として解禁していることから「たばこや酒ほど害はない」「依存性が低い」といった誤った書き込みが後を絶たない。会員制交流サイト(SNS)を通じて入手もしやすくなったため、罪悪感が希薄なまま手を出すケースが増えているとみられる。

 深刻な大麻汚染を食い止めるには、若者たちがあふれる情報に惑わされないことが重要だ。啓発活動の強化など、危険性や違法性を伝える対策を急がねばならない。

 取り締まり強化に向け、厚生労働省は今年1月、薬学や法学の専門家らによる有識者検討会を新設した。薬物対策全体を見直し、今年中にも報告書をまとめる方針という。

 検討会では大麻の「使用罪」創設が焦点となる。現行の大麻取締法は所持や栽培を禁止するが、使用は罰則の対象としていない。繊維などを目的に大麻草を栽培する農家が成分を吸い込む可能性を考慮したとされる。今後、使用罪が導入されれば抑止力になろうが、誤認逮捕への対策も必要になる。冷静に議論し、実効性ある施策を打ち出してもらいたい。

 一方、世界保健機関(WHO)や国連麻薬委員会では医療用途への活用に向けた議論が進んでいる。使用や栽培を合法化した国や州もある。だが、当局が流通をコントロールすることで犯罪組織の資金源を断ったり、税収増を見込んだりした措置であり、決して「大麻は安全」とお墨付きを与えたわけではない。

 こうした国際動向について厚労省は、大麻の規制が緩和されたとの誤解を招き、乱用を助長する恐れがあると懸念を示す。違法薬物を摂取する人の割合が諸外国に比べて圧倒的に低い日本では状況が異なると強調している。

 大麻によって健康が侵され、幻覚作用や思考力低下、認知障害を引き起こすリスクを甘く見てはいけない。特に、脳が発達段階の青少年は心身への影響が深刻とされる。

 大麻が「入り口」となり、さらに強い薬物への依存や、買う金ほしさの犯罪を招く危険性も小さくない。警戒心を緩めず、教育現場などで薬物の害をしっかりと周知していくことが欠かせない。

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