山陽新聞デジタル|さんデジ

豪雨被害の文書修復活動を記録 絵画修復士がCF活用し冊子制作

完成した記録集「残す。」を手にする斎藤さん(左)と今村さん
完成した記録集「残す。」を手にする斎藤さん(左)と今村さん
 西日本豪雨で泥水に漬かった日記や古文書などの救済に当たったボランティアの取り組みをまとめた記録集「残す。」が完成した。住民や地域の“大切な記憶”を取り戻す活動とともに、未曽有の災害に「何ができるか」を考えて行動する過程や、活動から生まれた人々、地域の新たな絆も紹介した貴重な一冊となっている。

 倉敷市真備町地区で水損した日記や手紙などの救出活動を行った絵画修復士の斎藤裕子さん(44)と今村友紀さん(40)=いずれも岡山市=が、現地で活動した団体や個人に呼び掛けて編さんした。ボランティアの市民や大学、行政の専門家、NPO法人の職員ら39人の寄稿とインタビューを、「残す」「つなぐ」「伝える」の3章で構成する。

 「残す」では、水損した品々を修復する過程やノウハウを詳しく報告する。今も写真洗浄に取り組むグループ「あらいぐま岡山」の森田靖さんは、思い出の詰まった写真をよみがえらせることで、被災者に「災害に立ち向かう希望を見いだしていただくことが本当のゴール」と記す。

 ノートルダム清心女子大は教職員、学生が子どもの絵画やアルバムなどの修復を行った。学内で始まった活動には「被災者の支援をしたい」と学生が多数参加し、「何かをやってみようと踏み出す第一歩となった」と振り返る。

 「つなぐ」ではNPO団体の担当者らが、多様な支援と被災地のニーズを結びつける役割の大切さを紹介。自身が被災しながらも、ばらばらになったコミュニティーの再生に奔走した住民ボランティアの女性も思いを寄せる。「伝える」は、水損した写真をアートに昇華させた美術家が、今回の活動そのものを「未来へ届けたい」と語っている。

 斎藤さんは「支援する側も多くの人に支えられて活動できた。災害で『大切なもの』を残す意義を伝えられれば」と話している。

 A4判、124ページで800部を制作。費用は山陽新聞社や中国銀行などが連携するクラウドファンディングサービス「晴れ!フレ!岡山」を活用して集め、県内の図書館や支援団体などに配布した。

西日本豪雨

あなたにおすすめ

さんデジ特集

TOP