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飲食店に時短要請 岡山県民で危機感共有を

 新型コロナウイルスの感染者急増を受けて、岡山県は県都岡山市の中心部で営業する飲食店に対し、改正特別措置法に基づく営業時間短縮の要請を始めた。初の試みで期間は今月16日まで。地域と対象は絞り込まれるが、県民全体で危機感を共有したい。

 指定地域は岡山市中心部でJR岡山駅東側に広がる約1平方キロメートルのエリア。対象は居酒屋、レストラン、スナックなどで、指定地域に約2500軒が密集する。同市内の飲食店で発生したクラスター(集団感染)のほとんどがこの地域の店に集中していることから絞り込んだという。

 岡山県はこれまで、感染防止と経済活動維持の両立を目指し、飲食店などに営業時間の短縮は要請せず、県民に夜間の外出自粛を呼びかけてきた。緩やかな対策で効果を上げてきたことは幸運だったと言えよう。一方、飲食店などからは、客が激減しているのに、協力金を受けられないと不満もたまっていた。

 今回の時短要請は、飲食店などの営業時間を夜の8時まで、酒類提供は午後7時までとするよう協力を求める。国の交付金を活用し、指定地域内の飲食店などが時短に協力すれば、過去の売り上げをもとに小規模店なら1日当たり2万5千~7万5千円が支給されることになる。

 心配なのは、範囲が岡山市中心部に限定されていることだ。通りを挟んで時短要請の有無が分かれる地区もある。飲酒をする人が、要請されていない地域に流れては意味がない。要請がない地域の店舗には協力金が支払われないために不公平感もあろう。県は丁寧に説明し、理解を求めなければならない。

 時短要請の背景には、予想を超えた感染の急拡大があったろう。県内の感染者は4月中に1253人と急増し、月別で初めて千人を超えた。5月に入ってからは1日当たりの感染者が100人を越える日も増えている。病床使用率は最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」となり、医療崩壊も懸念される。感染力が強い変異株の流行が要因とされるだけに、危機感を強めるのは当然だろう。

 東京、大阪、兵庫など4都府県に出された緊急事態宣言は延長が検討され、宮城、愛媛など7県で実施されているまん延防止等重点措置は対象地域が増えそうだ。高齢者へのワクチン接種が本格的に始まるのは今月下旬近くになる。岡山県でも、ここが踏ん張りどころとなろう。

 今回の措置で十分な効果が得られなければ、県は指定地域の拡大や、罰則を伴うまん延防止等重点措置、さらに強い規制力を持つ緊急事態宣言の実施を視野に入れて対応すべきだ。医療崩壊を防ぐために病床や医療スタッフの確保にも努めてもらいたい。

 県民の意識改革も必要だ。1年以上続くコロナ禍に慣れて、警戒心を解くことがあってはならない。

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