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イソップのこんな寓話がある。大…

 イソップのこんな寓話(ぐうわ)がある。大きな荷物を背負ったロバが沼で転んで立ち上がれなくなったと叫び続けた。それを聞いていたカエルが言った▼「ちょっと転んだだけでそんなに泣くのなら、おれたちほど長くここにいたとしたら、どんな騒ぎになったことか」―。誰もがもっと大きな不幸に耐えているのに、わずかな苦痛も我慢できない人を戒める話だとされる▼そんなロバのような人が昨今、増えているのかもしれない。苦情対応の経験がある会社員の22%が新型コロナウイルスの影響で、顧客などからの理不尽な嫌がらせ「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が増えたと感じているという▼危機管理コンサルティング会社が今春行った調査で20~60代の男女1030人が答えた。「ストレスのはけ口として執拗(しつよう)なクレームが増えた」「コロナ禍で人出が減り、待つことに抵抗を覚えるようになっている」との記述もあった▼在宅時間が増えたこともカスハラ増の一因のようだ。「商品の使用頻度が増え、その分クレーム件数も増えているのではないか」との声である。このウイルスはどこまでも罪深い▼西洋の古い格言にある。「怒りを克服することは、最大の敵に打ち勝つことだ」と。目下、人類の敵は、眼前や電話先にいる人ではない。己の筋違いな憤りであり、憎きウイルスである。

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