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みずほの障害報告 顧客本位の姿勢忘れるな

 失われた信頼を回復し、顧客本位の組織運営を実現しなければならない。

 みずほフィナンシャルグループ(FG)が、傘下のみずほ銀行で2月末以降、相次いで4件発生したシステム障害について、原因や再発防止策に関する報告書をまとめた。みずほFGの坂井辰史社長は記者会見で「信頼に関わる重大な事態と受け止めている」と改めて陳謝した。

 今回の報告書は中間的な位置付けであり、弁護士らでつくる第三者委員会の意見を踏まえて最終的な再発防止策をまとめる方針だ。盤石なシステムと運用体制に向け、危機管理の甘さを徹底的に排除する必要がある。実効性ある再発防止策を練り上げ、実践することが欠かせない。

 相次いだシステム障害の中で、特に多くの顧客に影響を与えたのが2月末の大規模な障害だ。預金口座のデータ移行作業と通常の月末処理が重なり、システムがパンクした。全国で稼働中の現金自動預払機(ATM)の約8割に当たる約4300台が止まり、5千超のキャッシュカードや通帳がATMに取り込まれる事態となった。

 報告書によると、初動対応では、システム障害の原因についての情報収集が中心となったことなどから、営業店への指示や顧客への対応が遅れたという。本来、最優先すべき顧客対応を後回しにし、混乱が拡大したことを厳しく自戒すべきだ。

 この他、機器の故障やプログラム更新時の不具合でATMが止まるなどした。また、機器が故障し約260件の外貨建て送金が最大5時間程度遅れるトラブルも起きた。

 再発防止策では、障害発生から1時間以内に本部の対策会議を開くとしたほか、トラブルの発生を即座に顧客に伝える方法を検討するとした。また、システム開発部門の増員や、顧客対応とITの双方に習熟した人材を、危機管理を担う管理職ポストに充てることなどを盛り込んでいる。

 みずほ銀は同銀が発足した2002年4月と、東日本大震災が発生した11年3月にも大規模障害を起こした。この反省を踏まえ、4千億円以上を投資して19年7月に現行の基幹システムに移行した。

 それにもかかわらず、システム障害が相次いだ事態に、金融機関としての自覚や責任感を疑わざるを得ない。システムの開発は、統合前の3銀行がそれぞれ関わりの深かった複数の企業が手掛けたもので、構造も他行に比べて複雑だとの指摘もある。障害時のバックアップも含め、システムの運用体制を絶えず点検し、安定稼働を実現することは急務だ。

 みずほFGとみずほ銀は報告書を金融庁に提出した。金融庁は関係者の聞き取りなどを行い、業務改善命令といった行政処分を検討している。原因の究明や再発防止策の取り組みなどを検証し、厳正に対処することが求められる。

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