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「声は出さず、心の中で歌いまし…

 「声は出さず、心の中で歌いましょう」。長引くコロナ禍ですっかり定番となった校歌斉唱の光景が、この春も各地の始業式や入学式で繰り広げられた▼一緒に歌う機会があまりにも少ないため、忘れないようにと毎日昼休みに校内放送で流す学校もあるという。地域の風景がうたい込まれたものも多いから、愛校心や一体感を育む大切な手だてとなっているのだろう▼いえいえ、校歌は目からも味わえるんですよ―。そんな異論が聞こえてきそうな岡山市・吉備路文学館の特別展を訪ねた。郷土の作家や詩人、歌人らが腕を振るった歌詞を文学作品として紹介している▼さわやかな緑や風を感じさせる詞を県内の30校以上に作った永瀬清子。〈高き天も/広き地も教場〉(旧邑久中)と壮大な正富汪洋(おうよう)。尾上柴舟(西大寺高)や米川正夫(高梁小)から小川洋子さん(創志学園高)まで多彩な顔ぶれだ▼少ない文字数で若人たちをいかに応援するか。近年は学校の統廃合で新校歌を作る際に具体的な山や川の名をあえて外したり、誰でも歌って楽しめることを優先したりするケースが増えているが、作り手の思いは不変だろう▼同じ学校に通う仲間とさまざまな経験を積み、その時間と重なり合って心の奥深くへ染み込んでいく校歌。児童生徒の歌声が学びやに響く日が、一日も早く戻ってほしい。

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