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消費者教育 10代への充実が急がれる

 「会員制交流サイト(SNS)で知り合った友人から、教材を手に入れて勉強すれば簡単に稼げると誘われた」「ダイエットサプリを初回お試しのつもりで買ったのに2回目が来て4万円を請求された」。岡山県消費生活センターの若者向け消費者トラブル対処法リーフレットで紹介された事例である。

 悪質商法の増加や電子商取引(EC)の拡大など消費者を取り巻く環境が変化する中、岡山県は「第4次県消費生活基本計画」を作成した。国の消費者基本計画改定を受けて2021年度から取り組む指針だ。消費者被害の防止から安心・安全な商品やサービスの確保まで幅広い内容にわたる中でも、基本目標の一つとして重視されているのが消費者教育である。

 背景の一つに、22年4月から民法上の成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることがある。18、19歳はこれまで、未成年者として契約を解消できる権利で守られてきた。それが、親の同意がなくてもローンやクレジットカードなどの契約が結べる権利を得る半面、従来の契約取り消し権を失った状態で契約社会にさらされることになる。

 これまでも20歳をすぎると消費者問題の相談件数が急増していた。新型コロナ下で多くの大学生らが甘言に乗り、100万円の持続化給付金詐取に関わってしまったのも一例といえよう。そうした危うさに直面する対象が高校生まで広がることになる。契約への理解不足からトラブルや被害に遭わないように、若者を守らなければならない。

 そのため重要なのが消費者教育の促進である。学校教育では既に行われ、小学校から買い物の仕方などを教わり、高校でも公民科や家庭科で消費者被害などについて学んでいる。ただ、悪質商法などは次々に新しい手口が現れる。講師の派遣や教材の支援を含め、県や市の消費生活センターなど行政のバックアップが欠かせない。

 地域や家庭の役割も大きい。計画作成に先立ち、県が行った県民意識調査では、18、19歳に未成年者契約取り消し権がなくなると知っていた人は38・1%にとどまるなど、関心の薄さが懸念される。消費者啓発セミナーなどを通じた各世代への知識の普及にも力を入れたい。

 電話で気軽に相談できる窓口として、最寄りの消費生活センターなどにつながる消費者ホットライン「188(いやや)」がある。その認知度アップも必要だ。先の調査では、188の内容まで知っているとした人はまだ15・8%だった。周知の徹底が求められる。

 消費についての正しい知識は、トラブルから身を守るだけでなく、環境や社会に配慮するエシカル消費(倫理的消費)など持続可能な社会の実現にも役立つ。若者たちが賢い消費者として育つように、行政や学校、地域が連携して消費者教育に取り組みたい。

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