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教員の確保 働く環境の改善が急務だ

 新年度のスタート時に担任教員が足りない公立学校があるとして、文部科学省が全国調査を行う方針を示した。

 教員の採用権限がある都道府県と政令市を通じ、始業日時点で公立小中高校と特別支援学校の教員の不足数を調べる。これまで一部自治体を抽出した調査はあったが、全国調査は初めてという。

 実態把握はむしろ遅すぎるくらいだろう。政府は本年度から5年間かけて全公立小の全学年で「35人学級」化を進める。1学級の上限人数が下がって学級数が増えるため、教員数の確保が欠かせない。

 文科省によれば、既に小学校の学級担任が足りず、教頭らが担任を兼務せざるを得ないとの声が寄せられているという。

 調査では教員の不足数だけでなく、5月1日までの改善状況や不足の要因、解消に向けた取り組みなどについても尋ねる。まずは学校現場の実態を正確に把握し、対策を打ち出す必要がある。

 病気や産休・育休などで休職者が出ると、通常は臨時採用の講師が派遣されるが、その講師が確保できないとの声は以前からあった。岡山県内でも休職者に代わって教頭らが担任を受け持つ事例がある。年度当初から正規の教員でなく講師が担任を務めている事例も少なくないという。そもそも自治体が教員配置を計画的に進めてこなかった問題があるだろう。

 教員不足の背景には志願者の減少がある。2019年度に実施された、公立小の教員採用試験の競争率は全国平均で過去最低の2・7倍まで落ち込んだ。大量採用された世代の教員の定年退職に伴い、各地で採用数を増やしているにもかかわらず受験者数が減っている。不合格者の減少に伴い、講師のなり手も減っているとみられる。

 昨年3月に全国44の国立の教員養成大学・学部を卒業した人の教員就職率は6割に満たなかった。長時間労働の実態などが広く知られるようになり、教員免許を持ちながら、民間企業に就職した人が多いようだ。

 受験者数を増やすため、文科省は大学で教員免許を取得する際の要件緩和などを進めている。ただ、最も重要なのは教員が魅力ある職業だと感じられるようにすることだろう。学校での働き方改革を一層、加速させる必要がある。

 09年度に導入された教員免許更新制も見直しが求められる。多忙な学校現場の負担になっているとの指摘があり、文科省は実態を調査する方針だ。受講料は自己負担で、10年ごとに30時間以上の講習を受けないと免許が失効する。いったん離職した人の復職や定年後の再任用をためらう一因にもなり、教員不足につながっている可能性もある。

 教育は国の未来をつくる礎だが、その足元が揺らいでいるのではないか。学校現場の窮状に、国や自治体は真正面から向き合うべきだ。

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