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まん延防止措置 問われるのは対策の中身

 これが新型コロナウイルスの再拡大を食い止める決め手となるのだろうか。政治的なポーズで終わらせることなく、データを検証し、効果的に対策を講じる必要がある。

 政府は、緊急事態宣言に準じた対策を可能とする「まん延防止等重点措置」を、感染が急拡大している宮城、大阪、兵庫の3府県に、今日から全国で初めて適用する。期間は5月5日までの1カ月間。ゴールデンウイークを含む観光シーズンでもあり、飲食店にとっては大打撃になるのは間違いないが、何とか踏みとどまってもらいたい。

 3府県では、知事が飲食店に営業時間の短縮などを要請していたが、感染拡大が収まらなかった。いずれも3月下旬には、人口10万人当たりの感染者数が同月上旬の数倍に急増している。受け入れ病床も逼迫(ひっぱく)してきていた。

 まん延防止等重点措置は、感染拡大を緊急事態宣言に至る手前で抑えるため、今年2月に成立した改正特別措置法で新設された。適用対象となる都道府県は、市区町村単位などに範囲を絞って、対策を実施することができる。

 宮城県は仙台市、大阪府は大阪市、兵庫県は神戸、西宮など4市に絞られる。指定された市では、飲食店の営業時間を午後8時までに短縮するよう要請。イベント入場上限は5千人となる。

 緊急事態宣言と違うのは、飲食店などに休業要請ができないことと、適用範囲が狭くなることくらいだ。額は少なくなるが協力金も支払われる。要請に従わなければ罰則もある。「緊急事態ほどではない」と誤解され、油断につながってはならない。

 政府は、措置の適用にあわせて、コロナ対策の指針となる「基本的対処方針」を改定した。対象地域の飲食店では、マスク着用など感染防止策をしていない利用者の入店禁止、アクリル板の設置や換気対策の徹底を要請。取り組み状況を見回りで確認する。歓楽街で陽性者が出た場の重点的な検査の実施も求めている。あわせて対象地域でなくとも、カラオケ施設の利用自粛を求めることも挙げた。

 1年以上にわたる取り組みから、どんな場所で、どんな状況でウイルスに感染するのかリスクは少しずつ明らかになっているはずだ。緊急事態宣言解除後も慎むべき行動について、政府は積極的に明示すべきだったろう。

 今回の措置では、範囲を絞って重点的に対策を進める。それぞれの防止対策の効果が把握しやすくなろう。徹底的に検証してもらいたい。

 重症化リスクが高い高齢者にワクチンが行き渡るのは数カ月先だ。欧州などで猛威を振るう変異株が国内でも増えている。気を緩めてはならない。3府県だけでなく、岡山県をはじめ、増加傾向にある地域は全国に広がっている。感染再拡大の懸念がある地域は、ためらうことなく先回りして対応すべきだ。

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