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偽ニュース対策 真偽検証の機能が重要だ

 ヤフーなど民間のインターネット事業者でつくるセーファーインターネット協会が、ネット上のフェイク(偽)ニュースや誤情報への対策に関する中間報告をまとめ、総務省の有識者会議に提示した。ネットニュースや会員制交流サイト(SNS)への投稿といった情報について、真偽を検証するファクトチェックを総合的に行う団体の設置などを提言している。

 国内外では災害時や選挙などの際、真偽不明の情報が拡散し問題となっている。ネット事業者が連携し、偽ニュース対策に取り組む意義は大きい。ネット空間で玉石混交の情報が飛び交う中、中立で信頼されるファクトチェックが実現するよう期待したい。

 偽ニュースは、事実とは異なる情報がニュースのような形でネット上などに掲載されたものや、デマが真実味を帯びて扱われるケースがある。2016年の熊本地震では動物園のライオンが逃げ出したとのデマが広がったほか、新型コロナウイルスを巡っても誤情報が多く流布した。

 偽ニュースを巡っては、総務省の有識者会議が、法規制ではなくネット事業者による自主的な取り組みを基本とする対策が適当とする報告書をまとめた。これを受け、同協会が具体策を検討してきた。

 中間報告は、対策の大前提として「個人の言論・表現活動に対する萎縮効果に留意し、情報発信を監視するかのような事態を招かないよう十分に配慮する」と表明。個人の情報発信を通じて正確でない情報が事実と誤認され、拡散されることで悪影響を生じる恐れがある場合に、対策を講じるべきだとした。

 具体的には、ファクトチェックのための情報収集から対象の選別、検証、結果の発信までを総合的に担う団体が持続的に取り組む必要があると指摘した。偽ニュースを検証するためには「ジャーナリズムの視点・ノウハウが不可欠」であるとして、新聞社や放送局などの伝統的なメディアや、ネット事業者、学術研究機関など幅広い連携が必要との見解も示している。

 中間報告に対し、日本新聞協会は「対策の第一歩と受け止める」とした上で、情報の流通を担うネット事業者に向けては「利用者がより質の高い、正確で信頼できる情報に接する機会を増やすための対策を講じてほしい」と求めた。関係組織がそれぞれの強みを生かし、連携を強めることが重要だ。ネット事業者による恣(し)意(い)的な検証にならないような仕組みも求められる。

 中間報告は、情報を利用者が適切に読み解く力「情報リテラシー」を高めるため、行政や事業者が啓発活動を促進することも提言している。

 情報の受け手が正誤を見極めたり、信頼性のある情報源を確かめたりする能力が高まれば、偽ニュースの拡散抑制につながる。各自が情報リテラシーを向上させ、偽ニュースを防ぐ社会を目指したい。

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