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緊急事態の再延長 解除へ向け対策強化図れ

 首都圏の1都3県に発令されている新型コロナウイルス緊急事態宣言について、菅義偉首相は7日に迫った期限を21日まで再延長すると発表した。病床の逼迫(ひっぱく)などを理由に挙げ、2週間については「感染拡大を抑え込むと同時に、状況を見極めるために必要な期間だ」としている。

 新規感染者の減少ペースの鈍化が特に首都圏で顕著だ。宣言を解除すれば、感染の再拡大が懸念される状況だけに妥当な判断と言えよう。

 記者会見で菅氏は、予定通りに解除できなかったことを陳謝。無症状者のモニタリング検査や、若い世代にも届く広報などの対策を示した。

 緊急事態宣言が及ぼす経済への悪影響を懸念する菅氏は、先行解除した関西や東海など6府県に続き、予定通り7日に完了させる道筋を描いていた。25日には東京五輪の聖火リレーが始まることなどもあって再延長は避けたい思いが強かったろう。

 それを軌道修正させたのは、小池氏ら4知事や専門家らの相次ぐ慎重論だった。日本医師会や経済界などからも解除によって負うリスクなどへの危機感が示され、外堀は埋められた。

 経済重視でコロナ対策が後手に回り批判された菅氏としては、強引に解除して感染の再拡大を招けば、政治責任を問われる。残されたのは、小池氏らの要請前に延長を表明して政治決断をアピールすることだったのだろう。

 だが、主導権争いにこだわっている場合ではなかろう。菅氏は2週間の延長によって「事態を大幅に改善できる」と述べたが、その根拠は定かではない。越えなければならない課題は山積している。

 緊急事態宣言の重みが薄れた感が否めない。自粛疲れからか、宣言中でも多くの人出があり警戒感の緩みを感じる。特に、これからは人の移動が増える時期だ。就職や進学、さらには花見シーズンなどにも当たり、どう引き締められるかが問題となる。

 感染力が強いとされる変異株の広がりも脅威だ。既存株から置き換わって感染の「第4波」を招きかねない。監視・検査体制を強化して備える必要があろう。

 時短営業など影響を受ける事業者は、延長でさらに厳しい状況に置かれる。緊急事態の対象地域はもちろん、地方の状況にも目配りした支援策が求められる。

 宣言を延長しても、従来の対策のままでは改善は望めまい。延長期間に何ができるかが問われる。まずは、これまで首都圏で感染を十分に抑えられなかった原因を把握するため、講じてきた対策の検証が必要だ。その上で、解除後も見据えた実効性ある対策を練らなければならない。

 国や自治体、関係機関が連携を強めて感染防止を徹底させ、早期の宣言解除へ向けて全力を尽くすよう求めたい。国民一人一人の自覚も欠かせない。

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