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サンマ漁獲枠削減 資源回復へさらに歩みを

 日本や中国など8カ国・地域がサンマの資源管理を協議する北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が先月開かれ、現行の漁獲枠を40%削減し、年33万3750トンとすることで合意した。2021年から2年間適用する。

 日本は近年、深刻な不漁に直面しており、資源回復に向け規制強化を提案していた。漁獲枠の削減に合意したのは、これまで慎重姿勢だった中国や台湾が歩み寄ったためだ。日本の訴えが一定程度届き、資源の回復へ一歩前進したことを評価したい。

 NPFCは北太平洋のサンマやマサバなどの資源管理を話し合う国際機関で、日中をはじめ、韓国、台湾、米国、カナダ、ロシア、バヌアツで構成。不漁が深刻化しているサンマの漁獲枠導入は19年の年次会合で初めて合意し、参加国・地域の総漁獲枠を55万6250トンと定めた。

 ただこれは、規制前である18年の参加国・地域全体の総漁獲量約44万トンを大きく上回るもので、実効性が疑問視されていた。今回、現行枠を削減し、より実態に近づく規制となったといえよう。

 日本のサンマ漁は記録的な不漁に見舞われている。全国さんま棒受網漁業協同組合によると、日本全国のサンマの水揚げ量は、00~12年はおおむね年20万トン超で推移したものの、15年以降は10万トン前後に低迷した。さらに昨年は前年比27%減の2万9566トンとなり、記録が残る中で最低だった。

 サンマの不漁は、海流や海水温などの要因が絡み合っているとされる。専門家によると、日本近海の水温変化などに伴い、回遊ルートが、稚魚の餌となるプランクトンが乏しい沖合にずれたことで、漁場が遠くなった上、成育や資源量減少に影響したという。

 ルート変化の原因とみられるのが、周辺よりも水温が高い「暖水塊」だ。冷たい水を南下してくるサンマは日本沿岸に発生した暖水塊にぶつかり沖合に迂回(うかい)するため、産卵場も移動したとされる。

 漁場が遠くなったことにより、漁師にとっては移動時間が長くなり、燃料代の負担も増える。同漁協によると、昨年の水揚げ回数は前年より約2割少なかった。

 外国漁船の影響も不漁の一因とされる。日本の主要漁場である近海の排他的経済水域(EEZ)にサンマが回遊してくる前に、中国や台湾が公海で「先取り」するためだ。今回、中国や台湾が漁獲枠削減に歩み寄ったことで、取り過ぎに歯止めがかかることも期待される。

 今回の会合で、日本は国・地域別の漁獲枠の設定を提案したものの、合意には至らなかった。アジア諸国などで魚の消費量が増える中、資源回復に向けては、日本が提案したように、より実効性のある枠組みが必要だ。各国・地域が乱獲防止などで国際協調を図りながら、資源回復を目指すことが欠かせない。

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