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存続危機の倉敷の銭湯・えびす湯 「湯を守りたい」と浄財募る

存続の危機に直面しているえびす湯
存続の危機に直面しているえびす湯
 倉敷市中心部で約100年間営業を続ける銭湯「えびす湯」(倉敷市鶴形)が存続の危機に直面している。“心臓部”のボイラーが老朽化で寿命を迎えつつあるが、新型コロナウイルス禍による入浴客の減少などで経営が厳しく、大きな設備投資が難しいため。設備が故障しても更新できずに廃業する同業者も多いが、店主の宮川ツチエさん(88)は「店を愛してくれる人々のためにも、湯を守りたい」と事業継続を模索している。

 えびす湯の創業は大正期。御影石の湯船や木製ロッカーが今も残り、レトロな雰囲気を求めて県内外から人が訪れる。2018年には、宮川さんのけがで休業し廃業も考えたが、同年7月の西日本豪雨を受け、被災者に入浴の機会を提供しようと、アルバイトを雇って再開した。

 しかし、昨年以降のコロナ禍で利用者が1日5、6人程度と以前の約3割に落ち込み、赤字経営が続く。さらに今年1月初旬にボイラーの不調が判明。業者の見積もりでは、内部がさび付いているため更新が必要で、配管やろ過装置など他の設備の傷みも激しく、約1千万円かかるという。

 「ここまで多額の設備投資が必要なのは初めて。自力で賄うのは難しい」と、同店では現在、アルバイトらの提案で店内に募金箱を設置し、利用者らから浄財を募っている。宮川さんは「癒やしの場として、銭湯を末永く続けられるよう、皆さんの力を貸してもらいたい」と話す。

 県公衆浴場業生活衛生同業組合によると、県内の銭湯は1970年には約190軒あったが、現在加盟する業者は7軒に減少し、同市中心部はえびす湯のみ。「採算悪化や後継者不足に悩み、設備の寿命を機に辞める店も多い」という。昨年12月には宝泉相生湯(岡山市北区丸の内)、今年1月にはときわ湯(同寿町)が店主の高齢化やコロナ禍による客の減少を理由に閉業している。

倉敷・総社

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