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WHOコロナ調査 中国は起源解明に協力を

 新型コロナウイルスの起源解明に向け、世界保健機関(WHO)の国際調査団が今月中旬、世界で最初に新型コロナの感染症が確認された中国湖北省武漢市に入った。一定期間の隔離を経た後、ウイルスの起源や感染拡大の経路などについて検証する。

 中国側は外国の調査受け入れに消極的で、国際調査団による本格調査はこれまで行われていなかった。だが、世界で感染者は約1億人を数え、死者は200万人以上に上っている。一刻も早い感染収束が求められており、中国は調査に全面的に協力すべきだ。

 調査団は、日本の前田健・国立感染症研究所獣医科学部長を含む各国の専門家10人で構成する。ウイルスが流出した可能性が取り沙汰されている中国科学院武漢ウイルス研究所をはじめ、流行の初期に多くの患者が確認された海鮮市場や病院の関係者らへの聞き取り調査などを2週間程度行う予定となっている。

 中国当局が、武漢で初症例が出たとしているのは2019年12月上旬だが、調査団は病院の記録から、新型コロナと関連性がある19年12月以前の症例も調べたい意向だ。ただ、既に1年以上が経過しており、当時の血液サンプルなどが残っているかどうかは不明で、今回の調査で実態解明がどこまで進むかは見通せない。中国は可能な限りデータを開示するなど、世界で最初に感染が確認された当事国として責任ある姿勢を示してもらいたい。

 新型コロナを巡っては、WHOの独立委員会が先日、対応を検証する中間報告を公表した。「中国の保健当局は昨年1月の段階で、より強力な公衆衛生上の措置を取れたはずだ」とし、感染拡大初期における中国当局の対応に出遅れがあったと指摘した。

 これに対し、中国側は「すぐさま断固とした方策を決め、感染と死亡を減らした」と反論した。だが、感染初期の事実解明に協力的だったとはいえないこれまでの対応が、国際社会の不信を招いていることは否定できない。中国側は中間報告の指摘を謙虚に受け止める必要がある。

 中間報告は、WHOについて、新たな感染症が発生した際の調査や支援などを自由にできず「期待されている任務を果たすには権限が不足している」とも言及した。さらに、WHOが緊急事態宣言を発出しても、各国が即座に大胆な感染防止策を取らなかった事態を踏まえ、各国に警戒を呼び掛ける仕組みを再構築する必要性を訴えた。WHOを軸に国際社会が連携し、感染抑制を徹底する態勢づくりが急がれる。

 新型コロナの収束が見通せない中、今後の新たなウイルス感染に備えるためには、新型コロナの起源とされる中国についての調査は極めて重要だ。WHOの国際調査団が調査と検証を十分に行い、有益な知見がもたらされるよう期待したい。

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