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誰もが自由に書き込め、無料で利…

 誰もが自由に書き込め、無料で利用できる。かつてない形態に驚かされた登場から今月で20年というから月日の流れは早い。オンライン百科事典「ウィキペディア」である▼膨大な数の人を巻き込んで発展を遂げ、今や317言語・計5500万超の記事を擁する巨大な「集合知」となった。日本語版の掲載は約125万本。この瞬間も新たに増え続けている▼無名の高校生も世界的権威も同列で、どの項目も他人の記述に上書きができるのが魅力だ。瀬戸内市や高梁市の住民が郷土の情報発信のため編集に挑んだ―と、本紙が伝えたこともある▼もちろん、専門家の厳しい目を経た紙の事典と比べて信頼性に欠けるとの課題は付きまとう。世界中の「知識格差」をなくすという目標も、国によっては通信環境が整わなかったり、政府がアクセスを禁じたりするなど道は険しい▼ジェンダーギャップ(男女格差)も深刻だ。全世界で執筆者の9割を男性が占めるとされ、人物記事も8割が男性。近年は差を埋める書き込み運動が広がっているが、女性に関する題材は執拗(しつよう)な改編など嫌がらせを受けやすい傾向があるという▼ただ欠陥はあるにせよ、インターネット上の知識へ依存が進む現状で、私たちはもうウィキペディア以前に戻れないだろう。知をどう積み上げていくか。その知が問われている。

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