山陽新聞デジタル|さんデジ

ストーカー規制法 実態に即し対策見直しを

 ストーカー規制法が2000年に施行されてから今月で20年を迎えた。恋愛感情などに基づく付きまといや待ち伏せ、交際要求などを繰り返すストーカー行為に罰則や防止策を定めたものだが、新たな手口が次々と現れ、規制が追いついていない実態も浮かび上がっている。不断の対策見直しが求められる。

 法律は、1999年に埼玉県桶川市で起きた女子大学生刺殺事件を機に制定された。該当する行為をした加害者に対して警察は警告や禁止命令を出し、悪質な場合は摘発して被害者を守る。施行後もインターネットの普及に伴い、執拗(しつよう)なメールや会員制交流サイト(SNS)への連続送信を禁止事項に加えるなど2度の改正が行われた。

 付きまといなどの行為が「犯罪である」という認識が定着した一方で、被害相談は昨年まで7年連続で年間2万件超に上り、今なお深刻だ。

 現在、問題となっているのは衛星利用測位システム(GPS)の悪用である。最高裁は7月、他人の自動車に無断でGPS機器を取り付けて位置情報を得ても、同法が禁じる「見張り」には当たらないとする初の司法判断を示して波紋を広げた。規制法の条文に明確な規定がないためだ。

 これを受け、警察庁はGPSを用いた監視や尾行が野放しになるとして対応を検討している。機器が取り付けられるのを監視するため、来年度から被害者にドライブレコーダーを貸し出す事業を予定している。先月設置された有識者検討会でも法改正について話し合いを始めた。新たな被害を生まないよう必要な見直しを急ぐべきである。

 とはいえ、罰則強化頼みには限界があろう。再発防止に向けては、加害者の更生を促す仕組みづくりとの両輪で対策を進めることが大切だ。

 警察は2016年から、相手への執着心や支配意識を薄めるため、ストーカー行為をした者に精神科医による治療などを勧めている。昨年は全国で過去最多の824人に働き掛けた。受診した124人のうち再び付きまといなどの行為をしたのは10人だった。

 強制力がなくカウンセリングにつながらない加害者が多いことや、受診費用がかかる点が課題だが、一定の抑止効果が見込めるとして費用負担に乗り出した警察もある。

 ストーカー行為は被害者を精神的に追い込むうえ、殺人や性犯罪など重大事件に至るケースも少なくない。長年にわたって心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ人もいる。相談体制の充実に加え、一時保護や心のケアなどの支援についても検討を重ねなければならない。

 対面での行為に比べ、ネット上では加害者側がエスカレートしやすいともされる。近年は、ネットなどで知っただけの面識のない人から脅される例も増えているという。被害実態に即した取り締まり環境を構築してもらいたい。

コラム

あなたにおすすめ

さんデジ特集

TOP