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1票の格差判決 抜本的見直しに踏み込め

 「1票の格差」が最大3・00倍だった昨年7月の参院選について、最高裁が合憲とする判決を下した。2016年の選挙で、2県を合わせて一つの選挙区とする「合区」が導入され、格差が縮まっていた経緯を踏まえ、「解消を望む意見があった中で合区を維持し、わずかだが格差を是正している」との判断である。

 違憲だとして選挙無効を求めた訴えは退けられたが、参院の選挙制度に関してはこれまでも問題点が指摘されてきた。見直しは急務だ。

 近年、参院選の1票格差を巡って最高裁は、10年の選挙(格差5・00倍)と13年の選挙(同4・77倍)を、投票価値の不平等が著しいとして違憲状態とした。これを踏まえて国会は、15年の制度改正で「徳島・高知」「鳥取・島根」の二つの合区を含む「10増10減」を実現した。格差は3・08倍に縮まり、16年の選挙は合憲とされた。

 さらに昨年の参院選前に、埼玉選挙区を2増、比例代表を4増とし、格差を3・00倍にまで是正していた。

 判決は、こうした取り組みに一応の評価を与えたと言えよう。ただ、合区導入時に国会は「抜本的な見直しを検討し、必ず結論を得る」との“公約”を掲げた経緯がある。だが、議論は進まず、判決では裁判官から、国会の決意が維持されたとは到底評価できないとする厳しい個別意見も示された。

 合区が導入されて2度の選挙が行われたが、地方には制度に対する不満の声が依然として根強い。2県で1人の候補者しか擁立できなければ、民意を国政にきちんと反映できないとの訴えである。

 一方で、格差是正に向けてさらなる合区を求める声もある。だが、人口の首都圏集中に歯止めがかからない中、人口減少に合わせて地方の議席を減らし続けることが果たして妥当なのか、議論の余地はあろう。平井伸治鳥取県知事は、民主主義の基礎的な単位としての都道府県を尊重すべきだとし、判決について「合区が固定化されかねない」との懸念を示した。

 合区について自民党は、18年にまとめた憲法改正案4項目の一つとして解消するよう明記している。人口だけでなく、行政区画や地域性も加味して選挙区を定めるべきだとの主張だ。他党には、全国をいくつかのブロックに分けて大選挙区制とする案もある。

 制度次第で各政党に大きな有利不利が生じることは確かだ。だが、民意を適切に映す仕組みを実現するためには、党利党略を超えて真摯(しんし)に論じ合うことが欠かせない。

 見直しは参院だけにとどまるものではない。時に衆院の決定を追認するカーボンコピーに例えられ、時に参院の多数派を野党が握る「ねじれ国会」が決められない政治を生み出してきた。二院制の下、衆参両院がどう役割分担するかを含め、抜本的議論に踏み出す時である。

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