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『喜劇 愛妻物語』嗚呼、夫婦って、なんて素敵なんだ!

 (C)2020「喜劇 愛妻物語」製作委員会
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 『百円の恋』の脚本家・足立紳が2016年に発表した自伝的小説「乳房に蚊」を自ら脚本・監督を務めて映画化した作品です。以前、この小説を電車で読んでいて、あまりのおかしさに吹き出して笑いが止まらなくなり、電車から降りる羽目になったので映画化はとにかく楽しみで仕方がありませんでした。

 売れない脚本家・豪太は、妻チカや娘アキと3人暮らし。幾つになってもムラムラがおさまらない豪太は、毎日ゴマをスリスリしながら妻の気を引こうと頑張りますが、チカは甲斐性なしの旦那にイラつき、彼をことごとく罵倒し続け、旦那はその暴言をヘラヘラとスルーする日々。とあることがきっかけで、3人が東京から香川へと驚愕の金欠旅行に出かける珍道中を描いています。それにしても一家の大黒柱として働き、家事もこなすスーパーウーマン・チカの口の悪さはラッパーのEMINEMをも超える! 妻の機関銃のごとき罵倒力は、最高の面白さで、主人公の豪太がボロカスに言われれば言われるほど、ゲラゲラ笑いが止まりませんでした。

 キャストも最高の一言で、クズすぎる旦那役を『決算!忠臣蔵』の濱田岳、目尻を吊り上げてブチ切れ続ける嫁役は『後妻業の女』の水川あさみ。そこにチラリと出てくる大久保佳代子がなんとも素晴らしい“間合い”で生きた芝居を見せてくれています。この3人が繰り広げる丁々発止のやり取りはさすが名脚本家の足立監督。珍道中を描きながらも、気づけば夫婦の固い絆に泣かされてしまう。これまで映画史には様々なカップルが登場して来ましたが、私の映画史上ナンバーワンの2人。憎しみ合って、罵り合いながらも猛烈に愛し合っている熟年夫婦を見て、強い憧れを抱いたのでした。暗いご時世の今こそ、最高に笑える大衆コメディが必要ですね! ★★★★★(森田真帆)
9月11日から全国公開
原作・脚本・監督:足立紳
出演:濱田岳、水川あさみ、新津ちせ

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