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九州豪雨で被災の植物標本救え 倉敷自然史博物館などが洗浄作業

水没した植物標本を洗浄するボランティアら
水没した植物標本を洗浄するボランティアら
 九州地方を襲った7月の豪雨で被災した人吉城歴史館(熊本県人吉市麓町)が収蔵していた植物標本の一部を、倉敷市中央の市立自然史博物館が洗浄している。地域の植生や植物史を伝える貴重な資料を一点でも多く救おうと、ボランティアの力も借り、学芸員らが作業に励んでいる。

 同歴史館は7月4日、球磨川の氾濫で約1・5メートルの高さまで浸水。人吉市で活動した植物学者・前原勘次郎氏(1890~1975年)が採集した約3万点の植物標本も泥水をかぶった。中には前原氏が発見した「ヒトヨシテンナンショウ」の証拠標本など熊本県南部の植生や植物史を知る上で貴重な標本が多数あったという。

 放置しておくとカビが生えたり腐食したりするため、一刻も早く救済処理をしようと熊本県博物館ネットワークセンター(同県宇城市)が呼び掛けたところ、全国の35施設が協力。岡山県内では自然史博物館と岡山理科大生物地球学部(岡山市北区理大町)が手を挙げ、それぞれ300~400点を洗浄することになった。

 同博物館では19日から作業を開始。東日本大震災で海水に漬かった植物標本を洗浄した経験がある狩山俊悟学芸員(63)が中心となり、同博物館友の会のメンバーと一緒に冷蔵保存した被災標本から1日約20点を処理している。

 28日には5人が作業。水でぬらした筆を使い、葉の上の泥は葉脈に沿って慎重にぬぐうなど、標本を傷付けないように慎重に汚れを洗い落とした。最後に吸水紙やスポンジに挟み、バクテリアなどを殺菌できるという70度の乾燥機に入れた。

 友の会メンバーの倉敷市の女性は「取り除いても泥が次々と浮いてきて大変。新型コロナウイルスの影響でボランティアに行くのは難しいが、少しでも役に立ちたい」と話した。

 狩山学芸員は「植物と文化は密接に関わり、植物から当時の人間の営みが垣間見えることもある。標本を残す意義は大きく、傷みが進まないうちに少しでも早く処理したい」と気を引き締める。

倉敷・総社

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