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俳人の坪内稔典さんが詠んでいる…

 俳人の坪内稔典さんが詠んでいる。〈バッタ飛ぶアジアの空のうすみどり〉。秋の野に時折、飛んでは消える小さな虫。海の向こうまで思いをはせ、澄んだ空間を伸びやかに広げていく▼こちらは写真を見るのも息苦しいほどだ。あらゆる植物を食い尽くすバッタの大群がインドの首都郊外を来襲した。建物の壁、樹木という樹木を埋め、空は巨大な群れで薄暗い▼世界で大繁殖しているサバクトビバッタである。1月にアフリカ東部で発生し、億単位の集団をなして広がった。東は海を越え、アラビア半島からインド、ネパールに及んでいる▼中国も警戒態勢に入ったという。有数の農業大国を抱える南米でも発生しており、食糧事情への国際的な影響は避けられまい。国連などは今夏、穀物や農作物への被害から約490万人が飢餓に直面する危機にあると警鐘を鳴らす▼何しろ、1日に150キロ飛び、群れ1平方キロ当たり約3万5千人分に匹敵する量を食べる。ケニアで見つかった群れの一つは岡山県の3分の1を覆うサイズだったというから、そのすさまじさたるや▼多くの食糧を外国に頼るわれわれにとって、バッタの害は遠い話ではないだろう。南米原産の有毒なヒアリが輸入貨物に紛れて侵入した3年前のケースもある。コロナ禍の広がりもしかり。世界は狭くなったのだと痛感する。

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