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年をとるほど、月日がたつのを早…

 年をとるほど、月日がたつのを早く感じる。そんな感覚を持つ人は多いだろう。生物学者の福岡伸一さんの著書によると、「体内時計」が影響しているという▼体内の新陳代謝の速度は加齢に伴い遅くなっていくが、自身は気づかない。そのため例えば、体内時計では半年たったと思っていても、現実には既に1年が過ぎてしまっている。実際の時間の経過に、自分の生命の回転速度がついていけていないわけだ(「動的平衡」)▼1年12カ月のうち、半分が終わった。とりわけ今年は、あっという間に過ぎたとの思いを強くする。新型コロナウイルスのためである▼クルーズ船の集団感染、突然の一斉休校、緊急事態宣言に伴う外出自粛やテレワーク、倒産…。この半年間、新型コロナを巡る事態は刻々と変わり社会は大きく変容した▼「時はものをすり減らし、音を立てないヤスリだ」というイタリアのことわざがある(梶山健編「世界ことわざ辞典」)。コロナ禍に振り回されながら過ぎた月日の流れが、人の命や心を静かに削り取った面は否めない▼もっとも「歳月は書物より多くを教える」というドイツのことわざもある。新たな厄災に関して、半年前に比べれば人類はずっと賢くなっているはずだ。失敗も含め、一つ一つの経験をより良い方向に生かさねば、過ぎた時間がもったいない。

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