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「きょうは店屋物にしよう」。家…

 「きょうは店屋物にしよう」。家長の一声に子どもたちが身を躍らせる。天丼? おすし! 中華もいいなぁ。長寿アニメ番組「サザエさん」でおなじみの一こまだ▼飲食店が客の元へ料理を届ける「出前」は江戸中期に始まったとされる。対してピザなど、店舗で飲食させず配達が主の「宅配(デリバリー)」が一般的になったのはバブルの頃だそう▼その宅配も、ここ10年で大きく位相を変えた。店と客を仲介し、配達を請け負う業者が出現。インターネットを介してやすやすと食事を授受できる便利さが双方に受け、とりわけ出前文化のなかった海外で急拡大している▼日本でも働く女性や外出しづらい高齢者の増加を背景に、右肩上がりの成長が続く。加えてコロナ禍に客足を奪われまいと「持ち帰り(テークアウト)」で臨む店も増えた。自宅でプロの味を楽しむことは今後、より身近になるだろう▼一方で、配送に伴い大量に発生するプラスチック容器のごみが世界的な問題となっている。感染防止には使い捨てもやむなしとの声があるが、数人分まとめて鍋で宅配したり、再利用できる器を自治体が店に貸し出したりと工夫も広がる▼昔ながらの丼や重、タケノコの皮などの良さを見直す動きもあるという。昭和を象徴する「サザエさん」の食卓が、妙に新鮮に見えるこのごろである。

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