山陽新聞デジタル|さんデジ

市街地をほぼ360度見渡せるパ…

 市街地をほぼ360度見渡せるパノラマ写真だ。写っているのは一面の焼け野原。焦土の中にかろうじてビルが残る。岡山空襲から間もなく、岡山市中心部のデパート・天満屋から撮影されたとみられる▼14枚の写真がつながれ、戦災の激しさを生々しく伝える。もう一つは、12枚をつないだ空襲から3年後の写真。同様の角度から撮られ、家々が立ち並び、テニスを楽しむなど復興の歩みがうかがえる▼撮影したのは合同新聞(山陽新聞の前身)のカメラマンだった故・坂本一夫さん。二組の写真は、岡山空襲展示室(岡山市北区駅元町)を代表する展示だ▼印画紙の実物は傷みが激しかったが、昨年末に遺族から寄贈されたのを機に市が修復した。パネル写真とともに実物が、岡山シティミュージアム(同所)での企画展「岡山戦災の記録と写真展」で7月5日まで展示されている▼あくまで実物の保存にこだわる。複写したデジタルデータだけでは、不具合での消去や機器の更新で使えなくなる懸念がある。実際に他都市では、空襲の被災写真が刊行物にしか残っていなかったりするという▼犠牲者の死亡届や焼夷(しょうい)弾などにしても、実物の展示は伝える力が強い。岡山空襲からきょうで75年だ。傷みやさびを防ぐのは容易ではないが、よりよい状態で次世代に渡すのがわれわれの使命だろう。

コラム

あなたにおすすめ

さんデジ特集

TOP