街が桃色だったらいいのに―。こんな発想から企画は始まった。「岡山=桃」のイメージは定着しているのに、岡山の街中に桃色や桃をほうふつさせるものがない。地味な印象がつきまとう岡山に、もっと桃のカラーが広まれば、街のイメージとアイデンティティーが合致するのではないか。そこで、白黒のイメージが強い新聞を「化学反応」させてみた。「新聞は情報の運び手だけでなく、ふるさとからの仕送り品を包むなど、人をつなぐツール。それを桃色にすることで生まれる岡山の違う表情から何か感じてもらえたら」と廣田さん。撮影中に通りかかった高校生が声を上げた。「最近の新聞って、桃色なんだ!」。
今回はクリエーターコンビによる作品。2人とも理系の出身だ。大学では廣田さんは淡水魚の研究、長舩さんは化学が専攻だった。それが、紆余曲折を経てクリエーターの道に。コピーライターの廣田さんはイオンモール岡山開業、アートディレクターの長舩さんは岡山県の自治体PR「もんげー岡山!」にそれぞれかかわるなど、第一線で活躍している。「岡山のクリエーターは、他県に比べて存在感が薄い」と口をそろえる。岡山を全国から注目される活力ある地域にするためには、2人のようなクリエーターの連携がまだまだ必要なようだ。