岡山ロケ地ガイド
みとりし(2019年公開)
交通事故で娘を亡くした定年間際のビジネスマン・柴久生(榎木孝明)。家族もバラバラになり、喪失感から自暴自棄になり、自殺を図ろうとした彼の耳に聞こえた「生きろ」の声。それは切磋琢磨して一緒に仕事に励んだ友人・川島の最期の声だったと、彼の「看取り士」だった女性から聞かされる。聞き慣れない看取り士という職業に興味を持った柴は、5年後、セカンドライフの仕事として看取り士を選び、岡山県高梁市で最期の時を迎える患者たちを温かく支えていた―。
監督:白羽弥仁
出演:榎木孝明、村上穂乃佳、高崎翔太、斉藤暁
■JR方谷駅(高梁市)
備中松山藩の藩政改革を手掛けた陽明学者山田方谷(1805~77年)にちなみ、1928年の開業当時は全国唯一の「人名駅」だった。国登録有形文化財の木造駅舎が今も現役で活躍している。「ようこそ備中高梁へ」―。新見行きの電車に乗って新人看取り士として赴任してきたみのり(村上穂乃佳)を久生が迎えるシーンが撮影された。
■吹屋ふるさと村(高梁市)
かつて銅山と赤色顔料のベンガラ生産で栄え、江戸時代末期から明治期の商家や宿屋跡が連なる。赤褐色の石州瓦や赤土の壁、ベンガラを塗り込んだ格子戸で彩られた町並みは、みのりが依頼者のもとへ車で移動するシーンで登場する。
■こぼれ話
原案を手掛けた一般社団法人・日本看取り士会(岡山市)の柴田久美子会長の強い要望で、作中に登場する景色や外の風景はすべて高梁市で撮影された。中でも、備中松山城が浮かんだように見える「雲海」は市の代表的な観光名所。その幻想的な雰囲気は、天国に旅立つシーンに重ね合わせた。高梁での撮影は西日本豪雨の影響で1カ月遅れの2018年8月だったが、雲海が現れるのは10月下旬~12月上旬で、撮影陣は再度高梁市入りしたという。
(2021年04月21日 14時16分 更新)
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