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豪雨で被害 油彩画2点の修復成功 吉備国大、近く真備支所に展示へ

修復が完了した「備中神楽荒神舞」(左)と「裸婦」。大原教授(右)のチームが作業を手掛けた
修復が完了した「備中神楽荒神舞」(左)と「裸婦」。大原教授(右)のチームが作業を手掛けた
 吉備国際大文化財総合研究センター(高梁市奥万田町)が倉敷市真備町地区の公共施設に飾られ、いずれも2018年の西日本豪雨で浸水被害を受けた油彩画2点の修復に成功した。水に漬かって剥落した無数の塗料片を一枚一枚パズルのように元に戻すなど緻密な作業を1年半近くにわたって重ね、完了にこぎ着けた。

 2点は井原市出身の洋画家片岡銀蔵(1896~1964年)の作品で、倉敷市真備支所(同市真備町箭田)の「備中神楽荒神舞」(60年)とマービーふれあいセンター(同所)の「裸婦」(26年)。豪雨ではいずれも作品全体が水没して泥が付着。水を吸ったキャンバスが収縮した影響で「備中神楽…」は一部の塗料が剥がれるなど“重症”だったという。

 同市の依頼を受け、研究センター長の大原秀之教授(絵画保存修復)のチームが2018年秋から着手。数ミリから粉状になっていた塗料片は、元の位置を色合いや筆跡などで特定しながら戻す作業を繰り返した。泥も温水で溶かし、綿棒を使って丁寧に拭い落とした。

 「塗料片の位置が丸一日かかっても分からない時があった」とチームの一員で大原教授のアシスタントを務める金学載(キムハクチェ)さん(51)は振り返る。気の遠くなるような細かな作業を積み重ね、3月27日に同市に引き渡すことができた。

 2点は近く同支所で公開する予定で「いつも市民が見ていた作品。きれいに元通りになり、復興に向けても励みになる」と畑野章治支所長。大原教授は「塗料が剥がれた箇所も残っているが、それも豪雨を乗り越えた作品の歴史。修復の過程も記録しており、後世に役立ててもらいたい」と話している。

(2020年04月02日 09時19分 更新)

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