山陽新聞デジタル|さんデジ

働き方改革 問われる見直しの実効性

 昨年4月に始まった「働き方改革」が2年目に入った。

 長時間労働の是正に向け、時間外労働(残業)に上限を設けた規定は、これまでの大企業に加えて今月から中小企業にも対象が広がる。正社員と非正規社員との間で不合理な待遇差を禁じる「同一労働同一賃金」の取り組みも今月から義務付けとなる。中小企業については1年遅れて来年4月から適用となる。

 過酷な労働が招く過労死の悲劇が後を絶たず、働く人の待遇格差も広がっているとされる実態を根本から変えることができるか。いよいよ改革の実効性が問われる。

 残業規制に関しては、この1年の企業の実績にはかなり温度差もあるようだ。

 主要企業110社を対象に共同通信社が1、2月に実施した調査によると、半数を超す57社が、規制以前と比べて残業が「減った」と回答。一方、4割に当たる44社は「変わらない」とし、逆に5社は「増えた」と回答した。

 回答した企業の大半が、IT活用などで業務効率化に取り組んでいると答えたが、それでも残業減らしが思うように進まない現状が浮かび上がる。人手不足などに加え、長時間労働が常態化していた職場環境を転換することの難しさもうかがえる。

 今月から適用される中小企業は、大手に比べると経営体力などで劣る。それだけに、改革実現のハードルがさらに上がることも懸念される。

 調査では、同一労働同一賃金に関連する取り組みについても聞いた。非正規社員の待遇をどう見直すかという設問(複数回答)では「休暇」が最多の52社で、「手当」「福利厚生」と続いた。

 同じ仕事をこなしている人は、待遇も正社員と同じにしようという制度の“本丸”は賃金の主要部分である本給、賞与や退職金だ。だが、これらの見直しに着手する企業は少数派にとどまった。

 企業を戸惑わせている理由に、制度の分かりにくさもあるようだ。厚生労働省は指針を示して不合理な待遇差の具体例を示しているが、実際に遭遇する事例は多様だろう。

 岡山労働局が約300社を対象に実施したアンケートでは、課題(複数回答)として「何が不合理な待遇差なのか分からない」が最多の58%を占めた。「どう取り組めばよいか分からない」も16%あった。国はさらなる周知や啓発に努める必要がある。

 非正規雇用は今や働く人の約4割を占める。収入や立場が不安定であることが、若者に結婚や出産をためらわせる一因ともされ、社会にとっても見過ごせぬ課題となっている。最近は、新型コロナウイルスの感染拡大で業績が悪化した企業が、パート社員らの解雇や雇い止めに踏み切る事例が急増している。

 働く人が納得でき、安心できる雇用環境の実現に向け、企業だけでなく行政も力を尽くしてもらいたい。

(2020年04月01日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ