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月例経済報告悪化 力尽くして踏みとどまれ

 政府が発表した3月の月例経済報告から6年9カ月ぶりに「回復」の文字が消えた。新型コロナウイルスの感染拡大が長期化すれば、さらなる悪化は避けられまい。日本経済は大幅な景気後退の危機にある。政府は踏みとどまるための対策に全力を尽くさなければならない。

 報告は国内景気の判断について、「新型コロナウイルス感染症の影響により、足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にある」とした。第2次安倍政権発足以来続いていた景気拡大期は終了したとの認識を示した。2月の報告まで「緩やかに回復している」との表現を維持してきたが、厳しい現状を踏まえて局面転換を認めざるを得なかったといえよう。

 激化する米中貿易摩擦などに伴い、昨年から輸出などへの悪影響が出始めていた。同年10月の消費税増税以降、頼みの綱だった個人消費も大きく落ち込み、10~12月期の国内総生産(GDP)は前期比1・8%減、年率換算で7・1%減にまで落ち込んでいた。コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。それに伴う東京五輪延期も日本経済には悪材料になろう。

 世界的に感染が広がったことで、完成品の輸出先や、部品の調達先まで大混乱し、国内の製造業にも深刻な影響が出ている。自動車メーカーの多くが国内生産の一時停止に追い込まれた。倉敷市にある三菱自動車水島製作所でも軽自動車の生産ラインが一時的に止まっている。今後、関連する部品メーカーなどへも大きな影響が出よう。

 さらに深刻なのは、ホテルや旅行などの観光関連、イベント、飲食といった業界に与える影響である。長引く外出自粛などにより、すでに事業継続が困難になりつつある企業も出ている。

 岡山県中小企業家同友会が県内の中小企業を対象にアンケートしたところ、コロナウイルスの感染拡大について「影響が出ている」「今後見込まれる」と回答した社は8割を超えていた。非正規社員の中には雇い止めや賃金低下の懸念も出始めている。地域経済に深刻な影響が及び始めた。一刻も早い対応策が求められている。

 安倍晋三首相は先週末の会見で「かつてない強大なパッケージ」となる経済対策を実行すると表明した。緊急事態宣言を想定したものにする意向で、自民党などで議論が始まった。当面の危機を乗り越え、反転攻勢につながる中身になるよう望みたい。

 4月以降、状況はさらに深刻さを増す可能性がある。補正予算の財源議論などに手間取っていては、生活を支えられなくなっている人や倒産を覚悟する企業を救うことはできない。スピード感をもって対応してもらいたい。県や市町村も国頼みでなく、地元の実態把握を急ぎ、経済対策を効果的に波及させる準備を加速させたい。

(2020年03月31日 08時00分 更新)

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