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詐欺の被害 各自が警戒心高め根絶を

 「キャッシュカードが不正に使われているので、利用を止める手続きをします」

 警察官を名乗る人物から、こんな電話を受けた岡山県南の60代女性は、間もなく自宅にやってきた金融庁職員だという男の指示通りにキャッシュカードを封筒に入れて渡した。「封印のため、印鑑を持ってきて」と言われ、その場を離れた隙に、偽のカードを入れた別の封筒とすり替えられたが、気付かなかった―。

 高齢者を中心に被害が多発している特殊詐欺の一例である。暗証番号を紙に書かせ、キャッシュカードと一緒に封筒に入れさせて偽物とすり替える手口が目立つ。冒頭の事件では男が立ち去って数時間後、不審に思った女性が警察に届け出た。だが既に現金自動預払機(ATM)から250万円が引き出されていた。

 お年寄りや家族ら一人一人が警戒を強め、身近に潜む被害の根絶につなげたい。

 警察庁によると、特殊詐欺の昨年の被害額(暫定値)は前年比81億4千万円少ない301億5千万円で、5年連続で減少した。とはいえ、警察官などをかたってキャッシュカードを盗む「詐欺盗」の被害が急増するなど、依然として深刻な状況が続いている。

 手口別で被害額が最も多かったのは、子や孫などを装う「おれおれ詐欺」の111億6千万円だった。次いで、はがきやメールなどでうその請求をする「架空請求詐欺」が97億6千万円で、この二つの手口で被害額全体の約7割を占めた。カード詐欺盗は前年比2・8倍に上る52億1千万円だった。

 岡山県内の昨年の被害額は約2億1800万円で、前年より約1億8400万円減少した。ただ、今年に入って以降、架空請求による高額の被害が相次いでおり、現在の被害額は約2億2500万円と、既に昨年1年間を上回る状況となっている。さらなる警戒が欠かせない。

 県警が被害防止策の一つとして力を入れているのが、留守番電話の活用だ。留守電は犯人と直接会話しなくて済む上、音声が録音されるのを犯人が嫌うとされる。県警は留守電の常時設定や、自動録音機能などを備える防犯機能付き電話の活用を呼び掛けている。会合や住民組織などさまざまな機会を通じ、高齢者向けの啓発を強化したい。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不審な電話にも注意が必要だ。市の委託業者などを装い「水道管のコロナウイルスの検査をしないか」「水道管のウイルス除去に数万円」と誘う電話や訪問が岡山市など全国で相次いでいる。

 被害を防ぐには、知らない人からの電話などでお金の話が出たら「詐欺」を疑うことが重要だ。不審な電話を受けたら、すぐに切って、身近な人や警察に相談するよう心掛けたい。1人暮らしの高齢者への声掛けや見守りなど社会全体で防犯意識を高めることが求められる。

(2020年03月30日 08時00分 更新)

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