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海賊版サイト 何が違法かを明確にせよ

 著作権者の了解を得ずに人気漫画などをインターネット上に公開する海賊版サイト対策として、政府が著作権法改正案を国会に提出した。

 無断掲載されたと知りつつダウンロードする行為を違法とする対象が、現行では音楽や映像に限られているのを、漫画や雑誌、論文などに広げ、悪質な場合は刑事罰を科す。今国会で成立させ、来年1月の施行を目指すという。

 ダウンロード規制と並ぶもう一つの柱は、海賊版サイトの情報をまとめ、ネット利用者を誘導する「リーチサイト」の運営を違法化することだ。この規定は今年10月に施行するとしている。

 一つのリーチサイトに掲載される作品は数千点を超え、削除要請に応じないサイトも多い。日本最大級とされた「はるか夢の址(あと)」では、大阪、岡山など9府県警の合同捜査本部が運営者を摘発した2017年10月までの1年間に、約730億円の被害があったとされる。

 後を絶たないこうした海賊版サイトの被害に歯止めをかけることが、文化の発展に重要なのは言うまでもない。一方で、ネット上での情報収集などを萎縮させることは避けねばならない。

 改正案は昨年の通常国会で提出予定だったが、日常的なネット利用にまで踏み込む規制内容に、有識者や漫画家の一部から「議論が不十分」などの批判が出て、国会提出を断念した経緯がある。

 その後、1年をかけて内容を再検討したのが今回の改正案だ。漫画家や弁護士を含む有識者検討会の議論を反映し、数十ページの漫画の1こまといった軽微なケースや、パロディーなど2次創作物のダウンロードなどを違法化の対象から外した。

 とはいえ、国民の懸念は根強い。ダウンロード違法化と規制対象の拡大を巡り、文化庁が昨年9~10月に実施した意見公募では、個人からの意見のうち、規制拡大への反対が8割を超えた。

 こうした不安を国会審議を通じて払拭(ふっしょく)することが求められる。改正によって何が違法となり、どのようなケースなら違法とならないのかを明確にして、幅広い合意を得ることが必要だ。

 海賊版対策については、ダウンロード規制よりも、漫画などをネットに無断掲載する違法アップロードの取り締まり強化こそ本筋という専門家の指摘もある。

 ただ、海賊版サイトの多くは海外のサーバーを利用しており、摘発が難しい。このため、改正案はサイトのアクセス数減少と広告収入削減を目指したという。しかし、ダウンロードに重点を置いた規制では効果が限定的にならざるを得ないことは否めない。

 法整備と並行し、摘発強化に向けた諸外国との連携など海賊版サイト自体への対策を急ぐことが欠かせない。海賊版一掃には、さらなる手だてが求められる。

(2020年03月27日 08時00分 更新)

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