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この地に生きる2・プロローグ(中)止まらぬ人口流出 女性とどめる施策重要

 人口減少の大きな要因の一つは、転出者が転入者を上回る「社会減」。では、作州地域の現状はどうなのか。岡山県が各市町村の住民基本台帳を基に毎月流動人口調査の1年分(2018年10月~19年9月)の結果をまとめた「2020年県人口の動き」から人口移動を集計した=

 10市町村の合計で作州地域以外への転出は5551人だったのに対し、転入は4774人にとどまり、777人減っている。転出入先の内訳をみると、県外への転出は3542人、県外からの転入は3165人で377人の転出超過。作州地域以外の県内自治体へは転出2009人、転入1609人で、県外への流出とほぼ同じ400人の転出超過となった。

 総務省などのデータから1995年以降で調べると、社会増となったことは一度もなく、作州地域からは年間700~千人程度の流出が続く。流出先は県外は関西圏や広島県、東京都などが多く、県内は主に県南都市部で、この傾向は変わっていない。

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 県人口の動きから津山市を中心とした県内市町村との転入=図1=と転出=図2=の状況を図示した。

 津山市は作州地域だけでみると転入の方が72人多い。しかし、岡山市との間では転出が170人も多く、県北の拠点都市として周辺から一定の人口を集めているものの、その倍以上が県都に流れている。

 県内外での移動を含め、転出の方が多かった作州地域の自治体は7市町村で、多い順に津山市384人▽真庭市204人▽美作市56人―など。転入超過は勝央町19人、久米南町4人、西粟倉村3人だった。

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 将来、存続が危ぶまれる「消滅可能性都市」を2014年に公表した日本創成会議は、判断基準として出産期にある20、30代女性の人口動態を挙げている。死亡数が出生数を上回る「自然減」に大きな影響を与えるためだ。

 国勢調査などから津山市が作成した10年から15年にかけての5歳刻みの人口変動を示したグラフ1で、女性に注目してみる。10年に15~19歳だった人は、20~24歳になった5年後に473人減少。男性の1010人減に比べて半分以下だが、男性は25~29歳になる時期に一定数が戻るのに対し、女性は子育て世代に当たる40~44歳まで流出が止まっていない。

 1980年から2015年までの長期間の10、20代女性の人口移動=グラフ2=は、作陽音大(当時)の倉敷市への移転(96年)の時期を含む95年から2000年に急減している。その後も10、20代の合計で95年以前を上回るレベルで減り続けている。

 自然減対策の面からも女性を地域にとどめる施策の充実は欠かせない。

(2020年03月26日 18時37分 更新)

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