山陽新聞デジタル|さんデジ

月桃に抗ウイルス効果発見 県生科研と東大 ヒトへの応用期待

岡山県生物科学研究所と東京大の研究グループが植物ウイルス病を防ぐ成分を突き止めた「月桃」=同研究所
岡山県生物科学研究所と東京大の研究グループが植物ウイルス病を防ぐ成分を突き止めた「月桃」=同研究所
 岡山県生物科学研究所(同県吉備中央町吉川)と東京大の研究グループは、沖縄県や鹿児島県に自生する植物「月桃(げっとう)」に、トマトやナスなどの成長を阻害する植物ウイルス病を防ぐ成分があることを突き止めた。A型インフルエンザウイルスの増殖を抑えることも確認しており、ヒトへの応用が期待される。

 月桃はショウガ科の多年草で、熱帯から亜熱帯のアジアに分布し、桃に似た花のつぼみを付ける。葉から取る油が甘い匂いがするためアロマオイルの原料にするほか、沖縄では餅を包んだり、乾燥させてお茶にしたりして活用している。

 研究グループは、月桃の茎や葉から搾った汁を水で薄めてナス科の植物の葉に吹きかけ、植物ウイルスを擦り付けたところ、10日以上たっても感染しなかった。トマト、キュウリ、ハクサイなどでも効果を確認。A型インフルエンザウイルスと月桃の抗ウイルス成分を混ぜて犬の細胞に感染させる実験では、ウイルスをほぼ100%抑えることができた。

 同研究所によると、植物ウイルス病はこれまで有効な農薬がほとんどなく、一度感染すると葉や実が変色したり、奇形になったりして、収量が大きく落ちてしまう。同ウイルスによる世界の損害額は年間約6兆円に上り、国内でも同1千億円を超えるという。

 研究グループは今後、この抗ウイルス成分を使った農薬の実用化を急ぐほか、鳥インフルエンザウイルスや豚コレラウイルスへの応用も研究を進める。グループの鳴坂義弘専門研究員(植物病理学)は「自然由来で人間が体に取り入れても害がないメリットもある。幅広いウイルスへの利用が見込め、新型コロナウイルスへも効果を発揮する可能性がある」としている。

(2020年03月26日 09時03分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ