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大学受験に失敗はない 将来なりたい自分をつくる

キャリア支援室の4年間カレンダーの例
キャリア支援室の4年間カレンダーの例
 1月18日、19日と最後の大学入試センター試験が行われた。毎年全国で50万人以上が一斉に実施する国内最大規模の試験である。大学進学を考える受験生にとっては、重要な試験だ。国公立大学の一般入試受験者は原則、センター試験を受験しなければならないため、この試験結果でほぼ行き先が決まる。

 ただし、この試験も今回が最後となり、2020年からは大学入学共通テストとなり、これまでの知識偏重型のテストから、知識を前提にそれを活用する思考力・判断力・表現力を問うテストへと移行し、複数の資料から様々な情報を組み合わせる必要のある問題や、正解が一つに限られない問題など、思考力・判断力・表現力を重視した出題に見直すとされている。

 日本の大学入試は、将来の進路を見据えた学部入試となっているが、将来の進路というより、センター試験の出来具合によって学部を選択しているといった実態もある。受験の段階で、将来を決めかねている生徒には過酷な選択となる。また、薬学部や医学部の6年制過程では、途中の進路変更が困難となる。このような背景もあり、大学や高校でのキャリア教育の充実が求められて久しい。

 米国の大学では、学部ではなく大学入試となり、学内にはアカデミックセンターが設置されており、学生の成績管理がなされ、希望する学部や将来へのアドバイスを受けることができる。アドバイザーと共に、最低でも年に2回のディグリープランを立てる。さらには、学費を稼ぐためいったん休学することも可能である。社会で働き、学費を溜めて再び、大学へと復帰することもできる。そのため、学内には、子連れの学生も見受けられる。就職においても米国では、随時何ができるかを基に採用が行われ、性・年齢を記載しないことになっている。新卒一括採用の日本とは、社会システムが大きく異なる。

 3月末には、国公立大学の後期、私立大学の入試もすべてが終了する。第一志望に進学する者、そうでない者、将来の進路を決めている者、まだまだ不明な者もいるだろう。第一志望の大学に進学できなかったからといって、悲観する必要はない。自分自身が思っている以上に、将来なりたい自分への道はたくさんある。キャリアの専門家のアドバイスを受けると良い。

 どうしても、その大学卒の名前が欲しいのであれば、大学院でチャレンジすることもできる。医師や歯科医師といった職業に直結する学部への進学が希望であれば、社会人枠を利用する方法もある。

 大事なことは、自暴自棄になったり、よほどのことがない限り中退しないことが重要だ。

 不安があれば、一人で悩まず、各大学の学生相談室やキャリア支援室に、相談に行くことである。国が認めた大学であれば、必ず学生のための施設が設置されている。図書館や食堂、各種相談室などを有効活用すべきである。

 大学はそもそも大人になる場所である。やり直しも逆転もでき、大きく成長することができる場所である。

 外出もままならない入学前のこの時期に、高校生から大学生へのリセットを兼ねて、自分自身を振り返ってみるのもよいだろう。自分の長所、短所はもとより、好きなこと、得意なことを客観的に把握する。自分でも考え、家族や友人にも聞いてみる。それを整理して受け止める。

 自分の長所、好きなこと、得意なことが見つかれば、それを伸ばすことを考えるべきだ。自信に繋がり、活き活きとする。

 大学入学後は、まず4年間カレンダーを作成すると良いだろう。大学によっては、キャリア支援室が配布しているところもある。就職活動の開始、公務員採用試験、留学などのタイミングを図ることができる。将来の進路が不明な学生は、キャリア支援室にて、アドバイスを受けながら4年間の目標を設定すると良い。

 次に、どのような授業科目があるかを調べ、前期の時間割を作成する。「学業」の目標(例えば、前期で各大学の交換留学に必要とする英語の点数を取る、履修科目の9割で優を取る、など)を定め、これを基に、「部活」「アルバイト」を計画的に組み入れて、自分なりの計画表(マイ・カレンダー)を作成する。「部活」や「アルバイト」も目標を明確にし、マイ・カレンダーに書き込んでいくと良いだろう。

 近い将来、どうなっていたいか? そのためにはどんな授業が必要か?何をしなければならないか? 4年間カレンダーでタイミングを図りながら、半期ごとに目標達成度を振り返ることは、誰にでもできる。

 大学では、「部活」や「アルバイト」を勧める。授業を通じて将来のための学力基盤を身に付け、「部活」や「アルバイト」を通じて人間力を磨きながら、徐々に視野や友人の輪が広がるだろう。

 自分を守る知識、家族を守る知識、健康生活を維持するための知識、体力を効果的に向上させるための知識、お金の流れを理解する知識、仕事の種類と業務内容の知識、等々。どこに進学しようとも学べることは山ほどある。大学受験に失敗はない。

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三浦 孝仁 みうら・こうじ Ph.D.  IPU環太平洋大学・体育学部長・スポーツ科学センター長。岡山大名誉教授。公益財団法人岡山県体育協会スポーツ医・科学委員会委員。一般財団法人岡山市体育協会常務理事・スポーツ振興委員会・委員長。NPO HSA JAPAN代表理事。岡山大在職中に顧問を務めた同大ウェイトトレーニング部は10度の全国制覇を果たし、ハンドボール部は過去最下位から1部上位へ引き上げるなど、長年に渡りスポーツ教育・指導・研究やキャリア教育などに携わった。障がい者ダイビングの指導団体「HSA JAPAN」の代表理事も務めている。著書に「筋トレっち 走れるカラダの育て方」(東邦出版)など。早稲田大卒、日本体育大大学院 修了。1957年生まれ。

(2020年03月23日 15時51分 更新)

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