山陽新聞デジタル|さんデジ

相次ぐ大規模改修計画 新館整備も 岡山県内の博物館、美術館

井原市立田中美術館新館の完成イメージ図
井原市立田中美術館新館の完成イメージ図
4月から約2年半の休館に入る県立博物館。3月31日まで特別展「備前のある場所―取り合わせの魅力」が開かれている
4月から約2年半の休館に入る県立博物館。3月31日まで特別展「備前のある場所―取り合わせの魅力」が開かれている
 岡山県内の博物館、美術館が相次いで大規模改修を計画している。好景気などを背景に、1970、80年代に開館ラッシュとなった施設が一様に老朽化しているためで、本格的な修繕により、地域の文化拠点として長期活用につなげる狙い。既存の建物を取り壊して新館を整備するなど、一段の魅力向上を図るケースもある。

 ■長寿命化

 1971年に開館した県立博物館(岡山市北区後楽園)は、約6億円を投じて過去最大規模の改修を予定。4月から約2年半休館し、2022年秋ごろの再オープンを目指す。

 南海トラフ巨大地震を見据えた県の耐震改修促進計画に基づき、15年に行った耐震診断で、建物の一部が基準を満たしていないことが分かった。改修に合わせ、コンクリート壁のひび割れや空調設備の老朽化、屋上の防水処置といった「長年の課題」にも対応する。

 同館は、文化庁長官が文化財の公開に適していると認定した「公開承認施設」。他県では老朽化で水滴が展示品に落ち、認定を取り消された例もあり、改修に当たっては認定の維持が最優先課題となる。このため収蔵庫の改修や、温湿度管理など高性能な展示ケースの導入も進める。

 文化施設が集積する岡山市中心部の岡山カルチャーゾーンでは、市立オリエント美術館(同天神町)が10月から約1年にわたり休館する。1979年に開館した建築家・故岡田新一氏の名建築だが、劣化が進み、建物に初めて手を入れる。

 2018年の西日本豪雨の際、収蔵品に被害はなかったが雨漏りしたため、屋上や窓の防水、外壁修繕など対策を施す。同館は「建物目当てに訪れる人もいる。デザイン性を守りつつ長寿命化を図りたい」とする。

 長期休館はしないものの、県立美術館(同)も21年度まで5カ年計画で改修。地下展示室照明のLED化や全館の空調更新を行う。

 ■魅力アップ

 新館建設に乗り出すのは、井原市出身の彫刻家・平櫛田中の作品を集めた市立田中美術館(同市井原町)。1969年に開館した旧田中館と別館(開館73年)を壊し、本館(同83年)の大部分を生かした新館を建てる。2021年1月に着工、23年春完成を見込む。

 収蔵庫を拡張し、展示室をバリアフリー化。新たに市民ギャラリーや休憩コーナー、田中ゆかりの日本庭園を一望できるエントランスホールも設け、「誰もが気軽に立ち寄りやすい市の芸術交流拠点として魅力アップを目指す」(青木寛明学芸員)という。

 19年末から改修中の倉敷民芸館(倉敷市中央)は10日に新装開館した。来館者が参加できるワークショップコーナーを新設し、ものづくり体験イベントなどで活用していく。

 長年、郷土作家の顕彰といった役割を果たしてきた博物館、美術館。地域の文化振興を今後も担っていくため、持続可能な新たな館づくりを模索している。県内83施設でつくる県博物館協議会の守安收会長(県立美術館長)は「施設を維持、発展させていくことは人材育成と並ぶ館運営の要。設立時の使命を尊重しながら、時代や市民の要望に柔軟に応えていく視点が重要だ」と話している。

(2020年03月22日 21時06分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ