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広島県、AI人材育成に乗り出す 地場産業発展下支え狙い

オンライン学習に取り組む(左から)梶さん、弘中さん
オンライン学習に取り組む(左から)梶さん、弘中さん
 広島県は、人工知能(AI)に精通した人材の育成に乗り出した。若年層などを対象にオンライン学習のプログラムを無償提供し、AIによるデータ分析を企業の課題解決に役立てる「データサイエンティスト(DS)」の養成を目指す。先端分野の人材不足が指摘される中、エキスパートを地域で育み定着させ、地場産業の発展を下支えする。

 「このデータでいいのかな」。昨年11月下旬、呉高専(呉市)の放課後の教室で、電気情報工学科の4年梶凌太さんと2年弘中勇太さんが、パソコンで県のオンライン学習に取り組んでいた。

 課題は「自動車環境性能の改善」。エンジンの仕組みや加速度など複数の既存車のデータをAIで分析し、燃費向上のヒントを探るミッションだ。「車の開発現場にいる気分。実践的な学びは楽しい」と2人。週に数時間はオンライン学習に費やすという。

 AIは、膨大な情報を読み込んで学習し、データの中に潜んだパターンや特徴を探し出す。近年は、その高度なデータ分析に着目し、製品開発や需要予測などに生かす企業が、幅広い業種で増えている。

 県はこうした動向を踏まえ、AI開発を手掛けるSIGNATE(シグネイト、東京)と連携し、昨年10月に育成事業を始めた。名称は「ひろしまQUEST」。参加希望者は事前に登録する。オンライン学習では、企業の売り上げ予測など実際のビジネス現場で行われるAIのデータ分析をはじめ、プログラミングの基礎も学んでいる。

 主なターゲットは、物心ついた時からインターネットが身近にあった1980年代以降生まれの「デジタルネーティブ層」。情報の利活用にたけた世代を見込んで地元の高専や大学などに積極的に声を掛け、オンライン学習は300人近くの参加者を確保した。

 経済産業省の推計では、先端IT分野に必要な人材は2020年に国内で4万8千人不足する。「優秀なAI人材を数多く確保することが、地場産業の競争力に直結する」と県。先端分野の人材は大都市圏に集中する傾向が強いため、地方では行政による育成が必要と判断した。

 AI人材育成の取り組みを広げるため、20年度当初予算案に3千万円を計上。より実践的なスキル習得を促すため、コスト削減など企業が求める課題解決のアイデアを募るコンペなども開く。育成した人材と地元企業とのマッチングにも力を入れていく方針で、県は「エキスパートを一人でも多く育て、AI人材を“地産地消”するサイクルをつくりたい」としている。

(2020年02月22日 19時47分 更新)

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