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養育費の見直し 子どもに届く制度構築を

 両親が離婚しても、子どもが経済的な不利益を受けないことが重要だ。養育費がきちんと子どもに届く制度の構築を急ぎたい。

 最高裁の司法研修所が昨年末、離婚後に支払われる養育費の基準となる算定表を見直した。夫婦の年収や子どもの数、年齢により養育費の額を定めるもので、夫婦が話し合いで合意できない場合、家庭裁判所の調停などで活用されている。

 改定により、年収によっては月1万~2万円程度増えるなど、全体的に増額傾向となった。一部は変わらないが、減額するケースはない。夫が会社員で年収450万円、妻が会社員で年収200万円で、10歳の子どもを妻が引き取った場合、夫が支払う養育費は月2万~4万円から月4万~6万円に増額された。

 見直しは16年ぶりとなる。長らく同じ基準が使われてきたことに「生活実態に合っていない」「低額すぎてひとり親家庭の貧困を招いている」といった批判が出ていた。今後も最新の統計などを踏まえ、算定方法も含めて見直していく必要があるだろう。

 算定表が見直されたのは望ましいが、問題なのはそもそも養育費の不払いがあまりに多いことだ。

 厚生労働省の2016年度調査によると、母子家庭で元夫と養育費を取り決めているとの回答は4割程度にとどまった。取り決めなかった理由としては「相手に関わりたくない」「相手に支払う能力がないと思った」などの声が多かった。取り決めても、途中から支払われなくなるケースも珍しくない。

 養育費の不払いはひとり親世帯の貧困、ひいては子どもの貧困問題に直結しており、社会問題ととらえるべきだ。離婚時には養育費を取り決めて公正証書に残すよう当事者に周知を図るとともに、行政や司法の関与も強めて不払いの対策を講じる必要がある。

 今春施行される改正民事執行法では法的な手続きをとれば、養育費を支払わない人の預貯金や勤務先の情報が得やすくなり、給与の差し押さえが容易になる。不払いに悩む人には朗報となろう。

 対策に乗り出す自治体も広がりつつある。兵庫県明石市は不払いとなった養育費を市が立て替えたり、支払いに応じない親に過料を科したりできる条例制定を検討中で、来年春のスタートを目指す。都道府県レベルでは東京都や大阪府が、不払い対策に取り組む区市町村への助成制度を新年度から始めるという。

 海外では、国が養育費を立て替えたり、強制的に徴収したりする制度がある。日本でも自治体任せにせず、政府が対策を進めるべきではないか。自民党の女性議員連盟は先月、政府による養育費の立て替えなどを盛り込んだ要望書を森雅子法相に提出し、森氏も「喫緊の課題」と前向きの姿勢を見せた。速やかに検討を進めてもらいたい。

(2020年02月19日 08時00分 更新)

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