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新型肺炎と経済 景気悪化への備え十分に

 中国発の新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が、世界経済に影を落としている。米中貿易摩擦で減速する中国経済へのさらなる痛手は、各国に飛び火しつつある。特に中国を最大の貿易相手国とする日本には、さまざまな経済的打撃が懸念される。

 春節(旧正月)休暇が終わった後も休業を続けてきた中国各地の企業が、発生源とみられる武漢市のある湖北省など一部を除き業務再開へと進んでいる。だが、在宅勤務や部分操業、さらには休業延長を続けるケースも多く、経済活動の本格化には時間がかかりそうだ。

 「世界の工場」とも呼ばれる中国の生産や物流の停滞が長引けば、世界経済の大きな下振れリスクとなろう。中国政府は、一刻も早く流行を終息させ、景気の腰折れを回避する取り組みが急がれる。

 新型肺炎の問題は、22、23日にサウジアラビアで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の主要議題に据えられている。世界経済への悪影響を最小限に抑える対策をしっかり話し合ってほしい。

 深刻な状況は日本経済にも及んできた。日本政府は感染拡大防止に向け、湖北省に加えて浙江省に滞在歴のある外国人についても入国拒否を打ち出した。ともに日系企業の進出が多い産業集積地である。現地に拠点を置く日本企業への影響はもちろん、サプライチェーン(部品の調達・供給網)の混乱が日本の生産現場にも広がりはじめた。

 観光業界や小売業界では、1月に中国政府が団体旅行の禁止を打ち出して以降、インバウンド(訪日外国人客)消費の落ち込みが目立つ。旅行の解約は、3月末には約40万件に上る可能性もあるという。春節期間中の大手百貨店の免税売上高も、前年を大きく下回った。

 日本国内で感染がさらに拡大すれば、欧米などの観光客の「日本離れ」も起きかねない。日本人の国内観光にも影響しそうだ。新型肺炎対策の強化とともに、風評被害の防止も必要だろう。

 岡山県内でも、インバウンド消費の低下や宿泊施設のキャンセルなどが見られた。岡山桃太郎空港(岡山市)の国際定期路線では、就航する上海、香港線が3月28日まで全便欠航となった。

 内閣府が、きのう発表した昨年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動を除いた実質で前期比年率6・3%減と5四半期ぶりのマイナス成長に転落した。昨年10月の消費税増税に伴う駆け込み消費の反動や、自然災害が原因という。さらに新型肺炎の影響が加わることで、日本経済の低迷が長期化する恐れがある。

 政府は第1弾の緊急対策として、観光業者らの資金繰り支援策などを打ち出した。感染拡大の防止とともに、状況を見極めた臨機応変の対処を求めたい。

(2020年02月18日 08時00分 更新)

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