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辛口の人間観察で知られるフラン…

 辛口の人間観察で知られるフランスの文学者が書いている。「そろそろ下り坂という年齢(とし)で、その肉体と精神の衰えがどこから始まるかを、はたに悟らせない人はめったにいない」(「ラ・ロシュフコー箴言(しんげん)集」二宮フサ訳)▼自分の衰えを気付かれるのは誰だって嫌だろう。ただ、それが周囲を危険にさらすとすれば看過できない▼高齢ドライバーによる交通事故対策で、警察庁が2022年度をめどに「運転技能検査」の創設を目指している。一定の違反歴がある高齢者に運転免許の更新時に義務付け、合格しなければ更新できないようにするという▼75歳以上の運転者による死亡事故は昨年、401件で前年に比べ59件減った。だが、免許保有者当たりの件数は75歳未満の2倍以上だった。免許の返納も増えたものの、衰えを自覚してもらうことが必要なケースはあろう▼一方で、運転しなければ生活ができないという人は地方はもちろん、都市部にも多い。乗り合いタクシーなど代わりの交通手段を自治体などが整えるが、普及はまだまだだ▼「老いは若い時のあらゆる楽しみを死刑で脅して禁じる暴君である」。そんな一文もある冒頭の箴言集は17世紀のものだ。長くなった現代の老後に、暮らしの楽しみや利便性をなくさない仕組みを増やさねば。老いが暴君と映る社会にはしたくない。

(2020年02月18日 08時00分 更新)

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