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新型肺炎 国内流行想定した備えも

 国内で新型コロナウイルスによる肺炎患者が次々と見つかり始めた。東京や北海道、神奈川、和歌山、沖縄など広範囲にわたり、初めての死者も出た。いずれも最近の渡航歴がなく、感染経路も不明である。

 これまでは中国から帰国したり、中国人観光客と接点があったりした。新たな感染者の中には1月中旬の時点で感染が疑われる人もいる。その頃から一定程度、広がっていた可能性がある。

 国内流行の状態にはないとしていた政府もきのう、加藤勝信厚生労働相が「これまでとは状況が異なる」と強い警戒感を示した。専門家の中には、流行拡大の新たな局面に入ったことを指摘する声がある。官民が連携して拡大防止に努め、「国内流行」に備えた対策を急ぐべきだ。

 今後は中国からの感染をくい止める水際対策から、国内での検査・医療の態勢拡充へと対策の重点を移す必要があろう。

 厚労省は滞在地域を限定せずにウイルス検査が受けられるよう対象者を拡大する方針を明らかにしている。大学病院や民間の検査会社の協力を求め、1日に実施できる数を約300件から千件以上に増やすという。

 感染が疑われるなら自治体の判断で柔軟に検査するよう通知も出しており、ここにきての相次ぐ感染判明につながったとみられる。

 感染すると最初はのどの痛みや微熱、だるさなど風邪の症状が始まり、その後にせきなどの呼吸器症状や高熱が出るという。国内でも重症化するケースがあるが、肺炎を発症しない人がいるなど軽症の人が多いのが特徴だ。

 ただそのため症状に気づかず、仕事や移動を続けて感染リスクを高める恐れもある。疑い事例は積極的に検査して早期に発見し、可能な限り感染経路や接触者を調査していくことが大切ではないか。より簡便な検査試薬の開発なども急いでほしい。

 不安な人には正しい知識や受診の流れなどを丁寧に説明できるよう、自治体などの相談窓口も充実させたい。

 患者は設備の整った感染症指定医療機関で治療することになっている。岡山県内でも岡山市立市民病院など3病院が準備しているが、病床数は限られる。政府は感染者増に備え、一般の病院でも入院は可能としている。軽症者を広く受け入れていく態勢を整えていくことも重要だ。

 用心したいのは医療従事者や病院での感染である。和歌山県では病院の医師や患者らが発症した。医師は発熱後も診察を続けていたとされ、院内感染が強く疑われる。300人近くが感染したクルーズ船でも乗り込んだ検疫官が感染している。

 新型コロナウイルスの致死率は季節性インフルエンザよりやや高い程度だ。過剰に怖がらず、手洗いなど徹底した感染対策を続けたい。

(2020年02月16日 08時00分 更新)

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