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山田方谷に学ぶ会代表世話人の渡…

 山田方谷に学ぶ会代表世話人の渡辺道夫さんに「『師門(しもん)問弁(もんべん)録(ろく)』を読む」(明徳出版社)をいただいた。江戸時代の備中松山藩の陽明学者山田方谷が最晩年に閑谷学校(備前市)で弟子たちと交わした問答の現代語訳で、会員の網本善光さんとの共著だ▼閑谷学校は岡山藩主池田光政が創建した日本最古の庶民の学校である。1870(明治3)年に廃止され岡山の藩学校へ併合された。だが、西欧化の中で漢学の灯を消すまいと有志が方谷を招き3年後に再開したことは意外と知られていない▼当時69歳の方谷は4年にわたって教えた。後に京都新聞創刊に関わる村上作夫、外交官になる島村久、漢学者になる岡本巍(たかし)―の逸材3人との問答が問弁録だ▼まとまった現代語訳は初めてという。実践を重んじる陽明学について3人がぶつけてくる率直な疑問や感想に方谷が丁寧に答えており、晩年の思想を知るテキストでもある▼渡辺さんが心引かれたのは「先生莞爾(かんじ)トシテ曰(いわ)ク、『然(しか)リ』」というくだり。弟子たちの意見ににっこり笑って「そうだ」と答える方谷からは、藩政の改革者という謹厳なイメージとは別の血の通った姿が浮かんでくる▼「方谷は弟子一人一人に合った教え方をした。教育の原点です」と渡辺さんは言う。今年は閑谷学校開学350年。教育者方谷へ再び光が当たりそうだ。

(2020年02月15日 08時00分 更新)

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