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「ツツピー、ツツピー」。先日の…

 「ツツピー、ツツピー」。先日の散歩の道すがら、かわいらしい小鳥の声が頭の上から聞こえてきた。胸に黒いネクタイのような模様があるシジュウカラだ▼別の雑木林では、ふんわりとした体にすっと伸びた尾が愛らしいエナガの集団がいた。「ジュルリ、ジュルリ」と鳴きながら、忙しそうに枝の間を飛び回っている▼そんな鳥たちの生気ある営みを楽しんでいたら、やぶの中から聞こえてきたのが「笹(ささ)鳴き」だ。声の主はウグイス。よく知られる「ホーホケキョ」ではなく「チャッ、チャッ」と舌打ちするように鋭く鳴く▼秋から冬にかけてよく聞かれる。仲間同士で居場所を確認したり、威嚇したりするために発するとされる。警戒心の強いウグイスとあって、姿は見せずに笹鳴きだけを響かせることも少なくない▼箏曲家の宮城道雄は「音の世界に生きる」と題した随筆で、小鳥や虫の声など自然が奏でる音への愛着をつづった。「自然の音は全く、どれもこれも音楽でないものはない。(中略)私たちがどんなに努力しても、あの一つにも勝(すぐ)れたものは出来(でき)ないであろう」と▼繁殖期に求愛するさえずりのホーホケキョとは違い、笹鳴きは素っ気ない声ではある。とはいえ春を待つこの時季、声麗しくさえずる準備をしているようにも思え、いとおしい。季節は着実に歩みを進めている。

(2020年02月14日 08時00分 更新)

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