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現役時代は戦後初の三冠王に輝き…

 現役時代は戦後初の三冠王に輝き、監督として3度の日本一を経験。無名の高校球児からトップに駆け上った自らを「ひっそりと咲く月見草」に例えた。どこか斜に構えた風情を崩さなかった▼プロ野球で活躍した野村克也さんが亡くなった。試合後には、ゲームの核心を突いた味わいのある「ぼやき」で周囲を楽しませ、リーダー論や人材育成にも持論を語る。球場の内外で存在感を放った人だった▼グラウンドの外でとりわけ目を引いたのは、何かと物議を醸した沙知代夫人との仲である。南海時代には2人を巡る騒動が起こり、野球を選ぶか彼女を選ぶかの二者択一を迫られてチームを去った▼阪神の監督時代には、夫人の脱税問題が浮上し、またもユニホームを脱ぐ羽目に。それでも、自分もしょせんはお金を稼ぐ以外は不出来な「悪夫」であり、妻あっての人生だった、という思いを語っていた。トラブルにも揺らがぬ不思議な結びつきを感じさせる夫婦像が印象深い▼その沙知代夫人には2年余り前に先立たれ、「寂しいという言葉はちょっと違う。がらんどうだ」と空虚感を語っていた。後を追うかのような突然の悲報だった▼昨年10月には、前人未到の通算400勝を達成した金田正一さんが旅立ったばかり。際立つ個性で球界の隆盛を支えた古き良き野球人の訃報は寂しい限りだ。

(2020年02月12日 08時00分 更新)

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