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米大統領選 大国のあり方問う論戦を

 「米国第一」を掲げて国際秩序に荒波を立て、社会を分断してきたトランプ米大統領流の政治を今後も続けていくのか否か。重要な選択の舞台が動きだした。

 11月3日の米大統領選の投票日に向け、二大政党の候補者指名争いが中西部アイオワ州を皮切りにスタートした。与党共和党候補が確実なトランプ氏に対し、野党民主党が誰を候補に、どんな対抗軸で政権奪還に挑んでいくのか注目したい。

 民主党の指名争いには当初20人以上の候補が乱立。11人に絞られたが、各地で左派と中道の対立による混戦が予想される。候補者にとっては勢いをつけたい初戦だったが、集計作業のトラブルで何日も結果が公表できない異例の事態に水を差された感じだ。

 指名争いでは、38歳の最年少候補で中道のブティジェッジ氏が、最高齢候補の左派サンダース上院議員を僅差で抑えた。3位は左派のウォーレン上院議員、全米世論調査で本命視された中道バイデン前副大統領は4位と苦戦した。

 民主党の主要候補は、今回の大統領選を「現代史上、最も重要な選挙だ」と口をそろえる。だが、所得や資産の再分配の強化を掲げる左派と、慎重な中道派の路線対立は根深い。激しい指名争いで、党内にさらなる亀裂が広がりかねない状況だ。

 一方、4日行われたトランプ氏の一般教書演説は大統領選に向けた共和、民主両党が対決姿勢を鮮明にする場となった。トランプ氏は、雇用増や失業率低下といった好調な経済など1期目の実績を、民主党のオバマ前大統領と比較しながらアピールした。

 民主党議員はトランプ氏の演説に拍手せず、時にはブーイングを浴びせた。トランプ氏が民主党のぺロシ下院議長との握手を拒み、ぺロシ氏も演説後にトランプ氏の演説原稿を破る一幕もあった。

 5日にはウクライナ疑惑を巡って弾劾訴追されたトランプ氏に対し、共和党が優勢の上院が無罪評決を出した。民主党はボルトン前大統領補佐官の証人尋問を目指したがかなわなかった。真相解明に至らず、灰色決着に終わったことは残念だ。

 これを踏まえてトランプ氏は、強力な岩盤支持層を軸に反転攻勢を強めよう。民主党は指名争いを通して党内論議を深め、米国の将来像などについて有効な対抗軸を打ち出すことが大切だ。

 トランプ政権によって米国の姿は大きく変わった。好調な米経済の半面で貧富の格差が広がり、社会の分断が進む。対外的には貿易を巡る高関税政策や、地球温暖化対策のパリ協定からの一方的な離脱などで混乱を生じさせた。課題は山積みである。

 世界の超大国・米国の大統領の資質や行動は国内にとどまらず、世界に大きく影響が及ぶ。真に優れたリーダー選びにつながる選挙戦となるよう期待したい。

(2020年02月09日 08時30分 更新)

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