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ふるさと納税 制度のひずみ是正必要だ

 大阪府泉佐野市が、ふるさと納税の新制度から除外されたのは違法として総務省に決定取り消しを求めた訴訟で、大阪高裁は請求を棄却した。国側の主張をほぼ全面的に認める内容で、同市は最高裁へ上告する方針という。

 2008年に始まったふるさと納税を巡っては、自治体による返礼品競争の過熱が問題となった。このため総務省は昨年6月に返礼品を「寄付額の30%以下の地場産品」と定め、基準を守る自治体だけが参加できる新制度に移行。それ以前の取り組みを判断材料に、泉佐野市など4市町を対象から除外した。

 中でも泉佐野市は、地場産品ではない返礼品のほか、ネット通販大手のギフト券を贈るキャンペーンなどを実施し、18年度に全国トップの約500億円を集めた。ふるさと納税全体の約1割に当たるという。

 今回の裁判における最大の争点は、新制度以前の市の行為を総務省が除外の理由としたことの正当性だった。市側は「除外の判断材料としたのは、裁量権の逸脱・乱用だ」などと訴えた。

 これに対して判決は、泉佐野市の返礼品を「返礼割合や地場産品でない物の比率、換金性などが高く、制度の趣旨に反する」と批判した。さらに、新制度は総務相に「募集の適正な実施にかかる基準」や、対象自治体の指定など広い権限を付与していると指摘。過去の寄付募集実績などを判断材料にした点について「総務相の裁量権行使に逸脱・乱用はない」とした。

 極端なやり方で寄付を集めた泉佐野市に問題がないとはいえない。ふるさと納税は故郷や応援したい自治体に寄付することで、都市部に集まりがちな財源を地方に移す狙いがある。泉佐野市は、そうした制度の趣旨をゆがめたと非難されても仕方あるまい。

 ただ、新制度導入以前の行為にも国の裁量権を認めた司法の判断には違和感がある。総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」も市側の言い分を認め、総務省に再考を求めていた。国と地方の対等の関係に逆行しているとの見方も拭えない。

 混乱の根底には、総務省による制度設計の甘さもある。返礼品の明確なルールを設けないままスタートしたため高額な返礼品競争が起き、寄付する側も「お得感」を基準に自治体を決める傾向が強まった。問題点の見直しも後手に回り、異常な事態を長く放置してきたことは否めない。

 新制度になっても、「グレーゾーン」の手法で寄付を集める自治体は後を絶たないとされる。高額所得者ほど多くの返礼品をもらえる“金持ち優遇税制”となっている点の改善も必要だろう。寄付する側の意識も問われる。

 一方、返礼品なしで自然災害の被災自治体などへ寄付する人も増えている。国は、ふるさと納税の意義をいま一度問い直すことが必要だ。

(2020年02月06日 08時00分 更新)

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