山陽新聞デジタル|さんデジ

新型肺炎 拡大阻止へ全力で対応を

 肺炎を起こす中国の新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。4日現在、中国本土の感染者は2万人に達し、死者も400人を超えた。国際連携で封じ込めを図るのはもちろん、日本国内での警戒体制強化を急ぎたい。

 3回目の会合でようやく緊急事態を宣言した世界保健機関(WHO)の対応は、遅きに失した感が否めまい。中国政府は1月下旬、感染源となった武漢市を事実上の封鎖状態にしたり、海外への団体旅行を禁止したりしたが、感染のペースは鈍化するどころか逆に上がっている。

 中国では医療現場の混乱が深刻だとされ、専用の病棟や医療スタッフの不足が指摘されている。初動対応のまずさも非難され、習近平総書記ら共産党最高指導部は誤りを認める異例の対応をせざるを得なかった。中国政府は早急に体制を立て直すことが重要である。WHOを中心に、国際的な医療支援などの対応も考えていくべきだろう。

 日本政府も新型肺炎を「指定感染症」にする政令施行を前倒しで行った。患者の強制入院や就業制限などが可能になる。武漢市を含む湖北省に滞在歴のある外国人の「入国拒否」にも踏み切った。

 日本と中国は人的、物的な交流が盛んなだけに、もし国内でのまん延を許せば夏の東京五輪・パラリンピックにも大きく影響する。空や海など水際での徹底監視をさらに強めていきたい。

 国内での感染者対策も必要だ。感染は武漢滞在歴のある中国人だけでなく、武漢からのツアー客を乗せたバスの運転手や同乗したバスガイドでも確認された。うちガイドの1人は武漢に直接関係がない国内初の感染とみられる。

 武漢から政府チャーター機で帰国した人の中からは、発熱やせきのない無症状の感染者も見つかっている。また帰国者のうちの1人は最初の検査で「陰性」だったが、追加検査で「陽性」となった。喉の粘液を採取する検査では分からず、たんを採取する追加検査で感染が判明した。

 感染者はこれからも増えることを前提に、疑いのある人への柔軟な検査や診察体制を整えることが必要だ。政府はたんの採取を徹底することを決め、短時間で感染の有無を調べる簡易検査キットの開発に着手したことを明らかにした。全都道府県に医療機関での専門外来や相談を受け付ける窓口の設置も求めた。

 ただ中国を除けば、感染者の大半は重症化しておらず、感染力もインフルエンザとさほど変わらない。過剰な反応を招かないために、行政は予防の正しい情報を丁寧に発信していくとともに、不安がある人にきちんと対応できる仕組みづくりが求められる。

 終息が見通せないことは世界経済へも暗い影を落としている。国内では特に中国人観光客の激減などで観光産業への影響が深刻だ。緊急融資などの支援策も検討したい。

(2020年02月05日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ