山陽新聞デジタル|さんデジ

世界初の自動車は約250年前に…

 世界初の自動車は約250年前にフランスで生まれた。軍事技術者のキュニョーが開発した三輪車で、蒸気を動力にしていた▼水を満たした大きなボイラーやシリンダーなどの全重量が、前一輪にのしかかる構造で、よほどの力がないと、かじ取りは不可能だった。試運転では、壁にぶつかる“史上初の自動車事故”を起こしたとも伝わる(「人間は何をつくってきたか」日本放送出版協会)▼そんな逸話は、自動車には誕生時から事故が避けられなかったことを物語っているのかもしれない。車は便利さや快適さをもたらす一方で、人命を奪ってきた▼警察庁によると、昨年の全国の交通事故による死者は3215人で、統計がある1948年以降で最少となった。「交通戦争」が叫ばれ、史上最悪だった70年に比べ、5分の1以下まで減った▼背景には車の安全性能の向上や取り締まりの強化、シートベルト着用率の改善などがある。もっとも過去最少とはいえ、1日に9人近くが亡くなっている▼「ハンドルを握る時は身近な人へ向ける愛を車の外側に向け、安全運転を心掛けてほしい」。昨春、東京・池袋で車が暴走した事故で妻子を失った男性の訴えが記憶に残る。完全自動化などで「事故ゼロ」が夢物語でなくなる日まで、凶器にもなる鉄の塊を走らせる運転者の責任は限りなく重い。

(2020年01月24日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ