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少子化学区再編へ 岡山・山南地区 義務教育学校22年春開校

義務教育学校の設置場所となる山南中。校舎増築が予定されている
義務教育学校の設置場所となる山南中。校舎増築が予定されている
 岡山市教委は、山南中(同市東区北幸田)と近隣の太伯、幸島、朝日、大宮の4小を統合し、県内初の義務教育学校の新設に乗り出した。少子化で適正規模での授業や学校行事が難しくなっていることに対応。一部教科で教科担任制を導入するなど特色も打ち出し、2022年4月の開校を目指す。人口減少地域での学校再編のモデルケースとなりそうだ。

 義務教育学校は1~4年の初等部、5、6年の中等部、7~9年の高等部で構成する。小学校と中学校の校舎が分離していることが多い従来の小中一貫校とは異なり、同じ校舎内で校長や教諭も同一組織に所属し、9年間一貫した教育を行うのが特徴だ。

 山南地区では、山南中に4小1中の学校機能を集約し、校舎を増設して児童生徒を受け入れる。中等部には英語などで教科担任制の導入を予定。20年度から始まる小学校高学年の英語教科化も視野に、高等部教員が専門的に指導することを検討している。

 小中の切れ目をなくすことで、中学進学時にいじめや不登校が増えるとされる「中1ギャップ」の解消も図る。市教委指導課は「小中教員が個々の児童生徒の性格や家庭環境の情報を共有しやすくなり、よりきめ細かな指導ができるようになる」と利点を説明する。

人間関係固定化

 義務教育学校設立の背景には、山南地区の著しい少子化がある。

 4小1中の児童生徒は計489人(5月現在)と、09年に比べて約3割も減少した。最も少ない大宮小(12人)では2、6年生がゼロ。3、4年生は同一クラスの複式学級となっている。

 授業や学校行事のグループ活動で制約があるほか「クラス替えができず、人間関係が固定化されて多様な意見に触れる機会が少ない」(市教委)といった課題が指摘されていた。

 このため、学区内のPTA役員や連合町内会長らは18年秋、小中一貫校の設立に向けた協議会を発足した。市教委はこれに応える形で19年8月、義務教育学校の開校を決めた。

 協議会の光本剛士会長(48)=同市東区=は「ここ数年で児童はめっきり減り、子育て環境を考える上で危機感を持っていた。子どもや地域のためにも早く義務教育学校を開校してほしい」と言う。

通学距離6キロも

 とはいえ、課題も少なくない。統合によって通学距離が長くなり、中には6キロ先になる児童もいる。学校はスクールバスを走らせる意向だが、詳細は固まっていない。

 教育内容については、市教委は9年間の一貫教育で自由なカリキュラムを組めると利点を掲げるが、具体的な中身はこれから。幸島小の千葉亨PTA会長(40)は「学区ごとのスポーツ少年団の在り方も含め、決まっていない問題は多い。期待の半面、不安も大きい」と打ち明ける。

 地域にとっては小学校の跡地活用も課題となる。住民の運動会や祭りなど地域コミュニティーの拠点だけに、どう再活用するか探っていく必要がある。

 市教委の菅野和良教育長は「義務教育学校は地域の要望があって動き出した事業。課題はあるが、保護者や地域一体となって学校づくりを進めたい」と話している。

 義務教育学校 2016年の改正学校教育法で制度化された教育システム。18年時点で全国の国公立82校で採用され、小学校段階からの定期テストや教科担任制、小中一貫の部活動などの事例がある。県内では岡山市の山南地区のほか、美咲町の2小1中が統合して24年の開校を目指す計画がある。

(2020年01月20日 11時11分 更新)

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